仮設住宅の完成が近づいたある日、志村さんは被災者からこんな言葉をかけられた。「みなさんはいいですよね。仮設住宅が完成すれば、帰れるのですから。帰れる場所があるって、いいことですよ」と。この言葉を聞いたとき志村さんは、どういう顔をして、どのような言葉をかけていいのか、分からなかったという。
現場監督を務めていた椛島哲也(かばしま・てつや)さんに、ある被災者はこうつぶやいた。「私たちにも仕事があればなあ……」と。現場は混乱していると思い、現地入りする前に人員などすべての手配を済ませていた。「被災されている方に、お仕事を手伝ってもらえるような体制にすればよかった。もう少し情報があれば……」と椛島さんは悔しがる。
東京と現地を往復し、指揮を執り続けた志村さんと椛島さん。建てる前の段階からさまざまな難問が降りかかり、電気、水道といったライフラインの確保から始めなければならかった。そして6月上旬、工期に遅れはなく、仮設住宅は完成した。
「仮設住宅」と聞いてどんなイメージを持っているだろうか。多くの人が「プレハブ」を想像するかもしれないが、実は施行する会社によって“味付け”が違う。ちなみにアキュラホームの場合は、木造タイプ。
仮設住宅は広さは決まっているが、デザインなど自由にできる部分は多い。よく見ると、玄関の形や外壁のデザインはさまざま。また間取りは2DKタイプが多いようだが、間仕切りをとって1つの部屋として使えるように設計している会社もある。
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