旅人を“丸抱え”――オンライン旅行会社エクスペディア、強さの秘密郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)

» 2011年10月06日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]
前のページへ 1|2|3       

全方位の事業戦略のウラ

 エクスペディアには多くの子会社がある。「hotels.com」(世界中のホテル予約)、「Hotwire」(格安旅行)、「EGENCIA」(ビジネス旅行)、「venere.com」(欧州中心のリゾート)、「Classic Vacations」(プレミアム旅行)、「トリップアドバイザー」(旅行情報)など。これらWeb子会社を配することで、消費者がどんな検索をしてもエクスペディアグループが“ディスティネーション(旅の目的地)”となるのだ。

 旅行ニーズから子会社群をポジショニングしよう。ヨコ軸は行く先も日程も「あいまいな旅行者」から、いつどこへ何をしていつ戻るか「明確なトラベラー」まで。タテ軸は高価格の「プレミアム顧客」から、低価格志向の「バジェット顧客」まで。全方位でカバーしているエクスぺディアは、まさに「顧客の総取り戦略」。だが、単なる総取りではない。

 私は幼いころ、下田に家族旅行した。高校の修学旅行は瀬戸内海の小さな島だった。オーストラリアをオープンチケットで放浪した。タイやシンガポールに何度も突貫出張した。上海へは社員旅行に行った。人は世代ごとに違う顔の旅をする。そのどの旅にもエクスペディアは応える。「生涯の旅の総取り」、だから強いのだ。

外国人旅客を増やす方法

 さて“3.11後の日本への外国人旅客増”のためにはどうすればいいのか? しかも、震災前から中国や韓国人以外の旅客は減少中なのだ。この質問に対し、スコットさんの答えは明快。

 「日本がディスティネーションになることです。日本でしかできない体験を組み合わせる。地方の魅力的な旅館がオンラインで訴求することも必要です。日本でこんな体験がしたいというイメージ作りが大切です」

 ニューヨークからオンラインで日本の東北の温泉旅館の宿泊や料理、送迎まで予約する。山菜料理でヘルシーになり、村の露天風呂でヌードになる。東京ではアキバでコスプレ体験やフィギュアを買うオタクを観察。牛丼に立ち食いそば、宇治金時やタイ焼きを食べ尽くす。できれば福島や宮城、山形の復興努力も見てほしい。日本は世界有数のディスティネーションなのである。

関連キーワード

旅行 | 日本 | Expedia | 予約 | 会社 | オンライン


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.