エクスペディアには多くの子会社がある。「hotels.com」(世界中のホテル予約)、「Hotwire」(格安旅行)、「EGENCIA」(ビジネス旅行)、「venere.com」(欧州中心のリゾート)、「Classic Vacations」(プレミアム旅行)、「トリップアドバイザー」(旅行情報)など。これらWeb子会社を配することで、消費者がどんな検索をしてもエクスペディアグループが“ディスティネーション(旅の目的地)”となるのだ。
旅行ニーズから子会社群をポジショニングしよう。ヨコ軸は行く先も日程も「あいまいな旅行者」から、いつどこへ何をしていつ戻るか「明確なトラベラー」まで。タテ軸は高価格の「プレミアム顧客」から、低価格志向の「バジェット顧客」まで。全方位でカバーしているエクスぺディアは、まさに「顧客の総取り戦略」。だが、単なる総取りではない。
私は幼いころ、下田に家族旅行した。高校の修学旅行は瀬戸内海の小さな島だった。オーストラリアをオープンチケットで放浪した。タイやシンガポールに何度も突貫出張した。上海へは社員旅行に行った。人は世代ごとに違う顔の旅をする。そのどの旅にもエクスペディアは応える。「生涯の旅の総取り」、だから強いのだ。
さて“3.11後の日本への外国人旅客増”のためにはどうすればいいのか? しかも、震災前から中国や韓国人以外の旅客は減少中なのだ。この質問に対し、スコットさんの答えは明快。
「日本がディスティネーションになることです。日本でしかできない体験を組み合わせる。地方の魅力的な旅館がオンラインで訴求することも必要です。日本でこんな体験がしたいというイメージ作りが大切です」
ニューヨークからオンラインで日本の東北の温泉旅館の宿泊や料理、送迎まで予約する。山菜料理でヘルシーになり、村の露天風呂でヌードになる。東京ではアキバでコスプレ体験やフィギュアを買うオタクを観察。牛丼に立ち食いそば、宇治金時やタイ焼きを食べ尽くす。できれば福島や宮城、山形の復興努力も見てほしい。日本は世界有数のディスティネーションなのである。
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