海外メディアにあって、日本メディアにないもの河野太郎氏が、原発報道を語る(前編)(4/4 ページ)

» 2012年02月07日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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メディアは検証してほしい

――メディアはこのように報道すればいいのになあ……と思われたことがありますか。何かアイデアなどがあれば、お教えください。

河野:福島第1原発で事故が起きたとき、そして事故対応をしたのは民主党政権。しかし原発の体制をつくってきたのは自民党。最初に原子力を始めたときは「エネルギー危機にどう対応すればいいのか」と真面目にやってきたと思う。だが、どこかの段階でそれが変質して、利権になってしまった。核燃料サイクルはいろんな問題があるのに、それを見ないで突っ走ってきた。このことについて、自民党は反省しなければいけない。

 多くの人は「核燃料サイクルは間違っている」と薄々感じていた。また電力会社でも「原発の最終処分場は止めなければいけない」と話していたのに、最後は進んでいってしまった。このことをメディアは検証しなければいけない。

 自民党内でもこの問題を検証すべきかどうかを議論しているが、メディアも「なぜ自分たちは検証してこなかったのか」を取材すべきだと思う。

 原子力報道については、2つの問題がある。1つは現場を知らない記者が、どう現場に突っ込んでいくかということ。2つめは原子力政策を止めらなかったこと。50年の歳月をかけて、何兆円ものお金をつぎ込んできた。にもかかわらず、「あと40年、高速増殖炉はできません」といった状況だ。このことについては、誰もが「おかしい」と思うはず。誰もがおかしいと思っているのに、なぜメディアは報道しないのか。

 政治家の中にも原発問題について、知識不足の人が多い。例えば「原発がなくなれば、電気が足らなくなる」と、いまだにこんなことを言っている政治家がいる。なぜこういう状況になってしまったのか。メディアにはぜひ、検証してもらいたい。繰り返すが、検証する対象には、マスコミも含まれていなければいけない。

続く

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