医療は、「不確実」なものであり、「100%の安全はない」との立場からすれば、問題にはならない割合かもしれません。
しかし、個人にとっては、あたれば100%です。しかも、やってみないとわからない、予想できない状況下で、個人の判断で受けろといわれても困るのです。
2011年、細菌性髄膜炎を予防する小児肺炎球菌ワクチン(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)を同時接種した乳幼児7人が、相次いで死亡しました。これは、ワクチン後進国の汚名返上ということで、鳴物入りで公費負担で導入されたものでした。
そして、一時接種が見合わせられましたが、結局、因果関係が認められないとして再開されました。国内での死亡は、10万回接種で、0.1〜0.2人、つまり、100万回接種で1人から2人ということです。
しかし、国内で細菌性髄膜炎により実際亡くなった0〜4歳の子は、2007年から2009年の3年間で、年平均11.7人といいます(「薬のチェックは命のチェック」第42巻)。
実際に、髄膜炎で命を落とした子が11人強、ワクチン接種後に亡くなった子が7人、マスコミで全く報道してくれませんが、これをどう解釈したらいいのでしょう。前述のインフルエンザワクチンでも、インフルエンザによる死者が204人、接種後のそれが133人、しかし接種者の割合からすれば0.0006%、全体から見るとやるべしということになりますか。
多分、細菌性髄膜炎で子どもを亡くした親は、予防接種をしてさえいればと思うでしょうし、予防接種後に子どもを亡くした親は、注射などするんではなかったと悔やんでいることでしょう。
親としては「本当に安全なのか」と不安は拭えませんが、もともと、「不確実」でやってみないとわからないのが医療です。確率的には極めて安全といえますが、亡くなるケースがあるわけですから、“一種の賭け”になるとしかいいようがありません。
(続く)
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