――そもそも堀さんはなぜドイツへ渡ったのですか?
堀 18〜19歳の学生時分に単純に憧れを持ったんです。欧州は音楽と芸術にあふれ、ドイツは厳格な国柄で自分にピッタリだと思いました。それから10年掛かってようやく実現できました。
――海外で起業する、働くという志向をもともとお持ちでしたか?
堀 ドイツに居住するという夢があり、仕事はそれを実現するための手段でした。日本、海外のロケーションに関係なくグローバル志向で仕事をすることが大切だと考えています。
――言語の壁以外に、ドイツに来てから立ちはだかった困難はありますか?
堀 一部のドイツ人ワーカーには、ストレスが溜まることもありましたね。間違えて、指定した倉庫ではなく街中の事務所に大きな荷物を送りつけてきたり、請求書を二重で送ってきたり、話してる途中でガチャンと電話を切られたことも何度かありますね。
あと、工事の人がインターネット回線を切ってしまい、抗議しても知らんぷりとか、送った荷物が雪の中空港で放置されてびしょ濡れとか……思い出しただけでも怒りが……。
――海外(ドイツ)で働くこと、生活することの魅力について教えて下さい。
堀 毎日が刺激的ですね。ドイツ人やそこに住む外国人、日本人たちはみんな人生を高める意識が高い人が多いので、そういった人間関係も非常に楽しかったです。誰かの家に集まってホームパーティーすることも、日本にいる時より各段に増えました。
仕事面では、日本ではあまり感じることができない国際感覚が身に付くと思います。欧州(EU内)は経済的にボーダーレスなこともあって隣国が身近な取引先です。
――ご自身の今後の予定や将来の夢(目標)について教えてください。
堀 目標はヴィオラフォンの販売がようやくスタートしたのでそれを軌道に乗せること。当面の目標は100台ですが、1000台、1万台までは具体的に目標としてイメージしています。
ギターの販売数は、日本では推定で年間30万台で、世界では100万台は軽く超えています。売れるギターのうちの1%がヴィオラフォンだとしても年間1万台はいけるという公算です。
普及したらどうなるんでしょうね。ヴィオラフォンをどんな風に演奏してどんな音楽を作るかはプレイヤーに委ねようと思っているので、プレイヤーたちがいろいろな音楽の世界を展開していってほしいと思っています。
ヴィオラフォンを提供する側としてはそのための場作りをしたいと思っています。例えば世界中からプレイヤーが集まるヴィオラフォンサミットとか(笑)。そういう年に一度的なヴィオラフォンのお祭りが一大イベントに成長したら面白いですね。
――最後に日本の若者にメッセージをお願いします。
堀 僕が20歳そこそこだったころに比べると、インターネットの恩恵もあり、日本もだいぶグローバル化してきたと感じます。これからもどんどんとグローバル化していくでしょう。その中でも意志を持って自分が正しいと確信する方向に向かって行ってほしいと思います。意志があれば何でもできます!
僕は楽器に詳しい人間ではないのですが、こういった新しいモノの誕生は恐らく多くの批判も生むのではないでしょうか。エレキギター愛好者からも、ヴァイオリン愛好者からも冷たい目で見られることもあるのではないでしょうか。
ですが、そういった苦難も乗り越えて、いつしかヴィオラフォンが楽器としての地位を築き上げていくことを期待しています。
【更新:2024年8月21日午後2時45分】取材先の要望により、記事内容の一部を非公開としました。
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