口数が少なくなった電源ガールを見て、ホリウチくんは撤収することにした。3月だというのに冷たい風が2人に吹き付ける。クルマに戻り、POWERボタンを押した電源ガールはふと、フロントパネルに表示されたEV走行可能距離に目をとめた。「あと3キロって書いてあるよ。これじゃホリウチくんの家までEVで帰れないじゃない。約束が違うわ」
「ちょっ、ちょっと待ってよ!」不機嫌そうな電源ガールを、ホリウチくんは必死の顔でとりなす。そうか、ガンダムを探してお台場を走り回っているうちに、残り走行距離が減ってしまったのか……!
「シートヒーターも切るから。あとは……あとは何したらEV走行距離が伸びる?……あっ、充電すればいいよね!」「どこで充電するの? ホリウチくん、このあたりで電源借りてきてくれるの?」ホリウチくんは周りを見回してみたが、オープン前の建物や空き地しか見あたらず、とても電気を借りられそうな雰囲気ではない。「どうしよう……EVじゃなきゃダメ? ガソリンで走るという案は……」「イヤよ、だってEVで行ける距離だけって約束でしょう? ガソリン代高いし。ホリウチくん、ガソリン代出してくれるの?」
どんどん不機嫌そうになっていく電源ガールにおろおろするばかりのホリウチくん。なんとかして充電しないと、このままでは針のムシロである。しかしどこで充電すればいいのだろうのか……?(続く)
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