じわりじわりと、それは進んでいた。国内市場における「軽自動車シフト」だ。
小型車へのダウンサイジングは今や多くの先進国に共通する傾向である。これまで海外のコンパクトカーといえばフォルクスワーゲンの「Polo」やプジョーの「208」、MINIの「MINI」などが属するBセグメント※が主流だったが、今年はフォルクスワーゲンの「Up!」(参照記事)やメルセデスベンツ「スマートED」(Smartの電気自動車版、参照記事)など、最小クラスのAセグメント※に相次いで意欲的な新型車が投入された。
とはいえ、日本市場の動きは欧州とは様相が異なる。欧米市場ではダウンサイジングが進んでいるといっても、ベーシックカーの主流はBセグメントやCセグメントである。しかし日本では、軽自動車が自動車の主流になろうとしているのだ。
この傾向を端的に表したのが、本田技研工業(ホンダ)が投入した「Nシリーズ」の大ヒットだ。ホンダは昨年12月に新時代の軽自動車としてNシリーズを発表し、その第一弾となる「N BOX」を投入(参照記事)。2012年を通じて軽自動車の2強であるダイハツ工業、スズキを上まわる販売実績を記録した。
→Nシリーズ:「N BOX」(第1弾)/「N BOX+」(第2弾)/「N-ONE」(第3弾)
ホンダのNシリーズで特徴的なのは、軽自動車がこれからの国内市場の主戦場になると大きく舵を切ったことだ。そのため本来は利益率の薄い軽自動車ではあまり行われない車台(プラットフォーム)やエンジンなどのパワートレインの新規開発が行われ、様々な先進技術や素材技術が投入された。これによりNシリーズは、従来の普通車コンパクトカーに匹敵する品質となったのだ。
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