「ライフネットが本当にあってよかったね」――お客からそう言われ、“気づいた”こと仕事をしたら“生保”ができた(前編)(4/7 ページ)

» 2013年02月06日 08時03分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

出口:ただ、もうひとつ……ネックがあったんですよ。生命保険の仕事を始めるのには、金融庁の免許が必要になります。戦後、独立系の生保として、私たちは初めて免許をいただきました。これは総理大臣が認めたもので“格”が高いんですよ。だからなかなか免許をもらえない。逆に言えば、その免許をもらえたので、「お客さまから信頼してもらえるだろう」と考えていました。総理大臣が認めてくれたので「この会社に対する不安はない」とも感じていました。でも、それは甘い考えでしたね。

土肥:どういったときにそう思われたのですか?

出口:私たちは3カ月に1回のペースで、お客さまに来ていただいてディスカッションを行っています。ディスカッションが終わって、お客さまを見送っているときに、ある奥さんが旦那さんにこんな話をしていました。「あなた、この会社(ライフネット)があって本当によかったわね」と。この話を聞いたとき、経営者として甘かったなあと思いましたね。

 いくら総理大臣から免許をもらったからといっても、一般の人にはその免許の重みなんて分かりません。この夫婦は弊社のWebサイトを見られて、ディスカッションの会にお越しになられた。でも奥さんの気持ちとしては、不安だったのではないでしょうか。普通の生保だと、ちゃんと建物があって看板がありますよね。でも弊社には営業所がありません。なのでその奥さんは「この会社があってよかったわね」と話されたのでしょう。

土肥:消費者から信頼を得ることは難しそうですね。

出口:ゼロからつくりあげていくことは、ものすごく大変なこと。繰り返しになりますが、私たちは総理大臣から免許をもらって、しかも同じ商品を半額で売っているんだから、「たくさんのお客さまが加入してくれるだろう」と思っていました。ただ実際に仕事を始めてみると、「義理・人情・プレゼント」という大きな壁が立ちはだかりました。

保険会社の営業を始めるのには、総理大臣からの免許を受けなければいけない(写真と本文は関係ありません)

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