「御社を取材したいと思っているのですが、その前に打ち合わせをお願いしてもいいでしょうか?」――。
ネット専業の保険会社「ライフネット生命保険」の広報Sさんとそんなやりとりをしていた。というのも記者は生保業界に精通していないので、「Sさんのお知恵を拝借して、なんとか記事にできないかな」と考えていたのだ。
そして当日。ライフネットの本社におうかがいしたところ、Sさんからこんなことを言われた。「ドイさん、いきなりで申し訳ないのですが、社長の出口がお会いしたいと言ってまして……」と。
え……、きょ、今日は打ち合わせでしたよね? と慌てていると、出口社長が登場したのだ。こんな機会はめったにないので、記者としてはラッキーなはず。しかし明らかに準備不足なのだ。インタビューを行う前には、会社の業績はどうか、社長はどんな経歴なのか、業界はどんな問題を抱えているのか――といったことを調べなければいけない。そんな基本の「き」もできていないまま、インタビューがスタートしたのである。
社長の話を紹介する前にライフネットとはどういった会社なのか。ここで簡単に説明しておこう。
設立したのは2006年で、いまから7年前のこと。保険会社というのは歴史のある会社が多く、ライフネットのような独立系の生保が誕生したのは、実に74年ぶり。ネット生保としては、SBIアクサ生命(現在のネクスティア生命)に次いで2社目だ。社長の出口治明さんは、日本生命でロンドン現地法人社長、国際業務部長などを歴任。また当時の大蔵省に出入りして、さまざまな情報を官僚から聞き出す「MOF担(もふたん)」の経験を持つ。
少し前置きが長くなってしまったが、さて何を聞けばいいのか。頭の片隅には保険の契約者数が右肩上がりで伸びている……といった記憶がある。まずはそのことから聞くことにした。
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