行っとけダイヤが発動すると、普段は見られない種別・行き先・車両の組み合わせが現れる。だから鉄道ファンは歓喜する。その一方で、ダイヤの乱れはたちまち収束していく。裏方に優秀なダイヤ職人がいて、その指示を信頼する運転士と車掌がいて、乗客案内する駅員にも情報が届く。職員間の見事な連携の成果である。これが鉄道ファンが尊敬する理由だ。京急の真価は行っとけダイヤにあると言っていい。
そして、ファンの尊敬は京急の乗客にも向かう。コロコロと行き先や種別が変わる状況に対して、クレームはゼロではないだろう。しかし、ほとんどの乗客は駅員の指示に耳を傾け、素直に従い、目的の駅へ最善の方法を選択する。京急のダイヤは種別が多く複雑で、日頃から乗りなれて鍛えられているからかもしれない。
だから京急電鉄沿線の鉄道ファンは自賛する。「京急電鉄は乗客もプロフェッショナル」だと。
コンピュータは活用すべきだ。しかし、システムの限界をフォローアップできる人材もちゃんと育てておかなくてはいけない。これは、コンピュータシステムに依存するすべての業種にとって必要なことだ。
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なぜ「必要悪」の踏切が存在するのか――ここにも本音と建前がCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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