田原:彼女は、しゃべりもあまり得意ではなかった。センターには向かないでしょう?
秋元:しゃべりは全然ダメです。ただ、それでも彼女をセンターにしたのは、前田敦子っていう子には、やっぱり天才的なオーラがあるんです。
田原:なんですか? オーラって。
秋元:オーラ。これは僕のなかでも、なかなか説明がつかないんですけど。まあ、イメージでいうと、アミノ酸みたいなものです。「このラーメン、なんでこんなにおいしいんだろう」と、地方の小さな屋台で思うことがある。一流ホテルがメニューに載せているラーメンを食べても、そんなふうには感じない。それにはアミノ酸なのかイノシン酸なのか知りませんけど、なにか特別なものが含まれているんですよ。
前田敦子にも、そんな「なにか」がある。誰が教えたわけでもないのに「1つだけお願いがあります。私のことは嫌いでも、AKBのことは嫌いにならないでください」なんて言う。彼女には、そういう天才ぶりがあるんです。
田原:「私のことは嫌いでも」って、総選挙の会場にアンチ前田が陣取っていて、2位発表のとき「前田! 前田!」という前田コールが始まる。お前は2位でいいんだ、と言われたからあんなことを言ったんですね。僕は「巨人軍は永遠です」と言った、長嶋茂雄みたいだと思った。あれは秋元さんが教えたんじゃないの?
秋元:まさか(笑)。僕が台本を書いたら、たぶんあのリアルさは出ないです。みんな「どんな話をすればいいですか」と相談にくるから、「あれこれ考えず、1つだけ決めておくといい。ファンに感謝したいとか私は悔しいとか、それだけを言うようにしたらいい。そのほうが記憶に残るよ」くらいは言います。でも、言葉を示して「これを言いなさい」とは一切言いません。
メンバーはそれを見ているから、篠田麻里子が「若い子たち、私にかかってきなさい」とか。おいおい、なに言い出すんだこいつはって、リアルでおもしろいんです。前田のオーラ、彼女だけが持つプラスアルファの部分は、芸能人がよく「あの人、独特のオーラがあるね」と言われるのと、あまり変わらないと思いますよ。
(つづく)
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