さて話は節税に戻る。仮に売り上げが毎年1000万円前後、経費は200万円程度、第五種事業の個人事業主がいたとしよう。各年度の売り上げが表のように推移すると、平成26年は消費税の課税事業者となり、簡易課税制度を選択すると25万円の消費税を納税することになる。
− | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 |
---|---|---|---|---|
売り上げ | 960万円 | 1005万円 | 980万円 | 1000万円 |
免税・課税 | 免税事業者 | 免税事業者 | 免税事業者 | 課税事業者 |
税額(簡易課税) | − | − | − | 25万円 |
もし平成24年の売り上げ1005万円を、最後に少し仕事をセーブして1000万円以下に抑えたら、平成26年も免税事業者となりこの25万円の消費税は納めなくてよかったことになる。余分に5万円稼いで25万円を納税するなら、年末に少しノンビリできたほうが幸せだったかもしれない。
まもなく消費税が8%、10%にアップされる予定だ。現状、それにともない免税点制度、簡易課税制度がどうなるかは未定だ。徐々に厳しくなっているので、制度自体の見直しの可能性もある。ルールが同じだとすれば、先ほどの25万円は先々50万円になる。ほんのわずか稼いで50万円を納税することになるかもしれないので、売り上げ1000万円前後のゾーンにいる人は年の後半は売り上げをキッチリ管理しよう。
経費を増やせば所得が減り、課税所得も減り、最終的に納税額は減る。だが無駄遣いをすればいいわけではない。無駄遣いをすると税金は減るが、使った以上に税金が減ることはない。やはり事業のために有効な支出をして、納税額を減らすのが節税だ。実際に経費と所得税を計算してみよう。
売り上げ、経費、各種所得控除を計算して課税所得が500万円だったとしよう。年末が近づき節税のためにPC周辺機器を数点購入し合計額が20万円になった。500万円の課税所得は480万円となると所得税はどれくらい減るのか(ここでは復興増税分は含まないこととする)。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超〜330万円以下 | 10% | 9万7500円 |
330万円超〜695万円以下 | 20% | 42万7500円 |
695万円超〜900万円以下 | 23% | 63万6000円 |
900万円超〜1800万円以下 | 33% | 153万6000円 |
1800万円超 | 40% | 279万6000円 |
所得税は20万円経費が増えたことで、税率と同じ20%分、4万円の減額となった。住民税が10%減るので2万円の節税となり、所得税、住民税を合計すると6万円の節税だ。気分的には3割引、あるいは30%ポイント還元で買い物ができたことになり嬉しくなる。
課税所得が190万円のときに同じ20万円の出費をすると、課税所得は170万円となる。それぞれの所得税は、
となり、所得税の節税は1万円となってしまう。経費を増やすことで節税にはなったが、同じ出費をするならもうかって課税所得が多い年に出費した方が節税となる。
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