学校へ行くメリットが説明できない時代小飼弾×松井博、どこへ行く? 帝国化していく企業(6)(5/5 ページ)

» 2013年07月05日 00時00分 公開
[野本響子,Business Media 誠]
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小飼:高学歴の人ってやっぱり仕組みを維持する側にまわってしまう。仕組みの中で育ってしまうとなかなか仕組みをつくる方向にいかないんですよね。

松井:高学歴で「こうやったらいいんじゃないですか?」という人は少ない。むしろ、ちょっとヘンなこと言い出す人が必要になるんです。

小飼:槍の名手が集まるところで鉄砲を持ち出すみたいなね。

松井:博士号を持っている人って、いわば“槍の名手”なんですよ。槍を使わせると、ものすごくうまい。ただ、そこから「オレ、こんなの考えたんだけど」と、鉄砲を持ってくる人は生まれない。

 鉄砲をつくる人が生まれるには、みんながいろんなことにチャレンジしている環境しかないと思っています。100万人くらいがトライしていれば、1人くらい面白いことを考える人が出てくる。だからみんながいろんなことにトライできる環境って大事だと思いますね。だけど失敗したときのコストが高すぎると誰もトライしなくなるから、やっぱり伸び悩んでしまう。

 ちなみに、自分の子どもには「大学、行かなくてもいいんだぞ」と言っています(笑)。

小飼:大学へ行くことに、それだけの効用があるのかという疑問があります。そもそもコンピュータサイエンスなんかを勉強するのに大学に行く必要があるのでしょうか。

松井:本当にそうですよね。僕も新しい言語を覚えるときには、書店で数冊の本を買って、あとは“グーグル先生”に聞けばたいていのことが分かる。

小飼:そう、グーグル先生は大抵のことを知っている。逆にグーグルが知らないことはビジネスチャンスなんで。ほくそ笑んじゃうもんね。うふふって。

つづく

プロフィール:

小飼弾(こがい・だん)

東京都出身。1991年12月米カリフォルニア州立大学バークレー校中退。その後帰国し、ネットワーク技術者として活躍。1996年ディーエイエヌを設立し、代表取締役に就任(現任)。1999年オン・ザ・エッヂ(現ライブドア)の取締役に就任するも、2001年に同社取締役退任。著書に『小飼弾の「仕組み」進化論』(日本実業出版社)、『空気を読むな、本を読め。小飼弾の頭が強くなる読書法』(イースト・プレス)ほか。Twitterアカウントは「@dankogai」。

松井博(まつい・ひろし)

神奈川県出身。沖電気工業株式会社、アップルジャパン株式会社を経て、2002年に米国アップル本社の開発本部に移籍。iPodやマッキントッシュなどのハードウエア製品の品質保証部のシニアマネージャーとして勤務。2009年に同社退職。ブログ『まつひろのガレージライフ』が好評を博し、著書『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」する』(アスキー新書)を出版。Twitterアカウントは「@Matsuhiro


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