国のチカラが弱くなっている中で、「国籍」に何の意味があるのか小飼弾×松井博、どこへ行く? 帝国化していく企業(7)(1/4 ページ)

» 2013年07月08日 00時00分 公開
[野本響子,Business Media 誠]

どこへ行く? 帝国化していく企業:

 アップルやマクドナルド、グーグルなどのグローバル企業は、いまや落ち目になった国家を尻目にどんどん強大になっている。低税率国の子会社を使った租税回避を行っていたり、低賃金で労働者を搾取し、法律を自分の都合のいいように変えるなど、やりたい放題やっているように見える。

 一方で、先進国の中間層は没落し、多くの人がグローバル化の名目のもと、時給で働く労働力として使われ始めている。民主主義はもはや機能していないのだろうか。人々が幸福になれる未来は来るのか。

 書評を中心としたブログを運営しアルファブロガーとして知られる元技術者の小飼弾さんと、元アップル管理職の松井博さんが語り合った。全7回でお送りする。

 →アップルやマクドナルドは、本当に“悪の帝国”なのか?(1)

 →企業帝国の弱点とは? そこで働く人たちの悲哀(2)

 →先進国にとっての労働は「暇つぶし」なのか(3)

 →「ベーシックインカム」は人間を幸せにするのか(4)

 →壮大な“実験国家”米国から何を学べばいいのか(5)

 →学校へ行くメリットが説明できない時代(6)

 →本記事、第7回


政治家には海外に住むことを義務づけたほうがいい

小飼弾さん

小飼:よく「日本人は日本人の言うことは聞かないけれど、外国人の言うことは聞く」と揶揄(やゆ)する人がいますよね。けれど、他人を通して自分を知るというのは正しいと思う。自分のことを自分で理解することは難しい。日本のことを知りたかったら一旦日本の外に出てみるしかない。本当に、それしかありません。

松井:それも旅行じゃなくて、住んでみることですね。異国で春夏秋冬を味わって、四苦八苦すると、初めて「日本のこの部分は良かった。ここはダメだった」と実感として分かるんです。だから政治家は海外に住むことを義務付けたほうがいい。

小飼:それがいいですよね。役人を留学させるのではなく、外に出すのは政治家のほうです。

松井:仮に経済産業省の役人などを外国に住まわせるなら、とことん大変な生活してもらう。「お前はマクドナルドで時給8ドルで働いてこい」といった感じで。そういう経験を1年ほど積むと、日本のいいところが見えてくるはず

小飼:サウジアラビアのアルワリード王子はコネもなく米国に住んで、住宅ローンを組んだりしていたそうです。

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