アップルやマクドナルド、グーグルなどのグローバル企業は、いまや落ち目になった国家を尻目にどんどん強大になっている。低税率国の子会社を使った租税回避を行っていたり、低賃金で労働者を搾取し、法律を自分の都合のいいように変えるなど、やりたい放題やっているように見える。
一方で、先進国の中間層は没落し、多くの人がグローバル化の名目のもと、時給で働く労働力として使われ始めている。民主主義はもはや機能していないのだろうか。人々が幸福になれる未来は来るのか。
書評を中心としたブログを運営しアルファブロガーとして知られる元技術者の小飼弾さんと、元アップル管理職の松井博さんが語り合った。全7回でお送りする。
→アップルやマクドナルドは、本当に“悪の帝国”なのか?(1)
→本記事、第5回
松井:国家にもそろそろ再デザインが必要ですよね。では、どういうデザインがいいのか? と聞かれても、僕にはまだ分かりません。ただ、国家の役割はもっと制限してもいいと思う。いろいろやってくれなくてもいいんじゃないか、と。
小飼:松井さんのような意見がある一方、「おむつも変えてくれない国家なんて」と言っている人もいます。
松井:もちろんそういう意見もあります。ただ お金が不足している先進諸国を見ると、どうせ国家は地方自治体化しているし、役割をもっと制限していいと思う。もう警察と消防だけでいいかもしれない。
小飼:「民間にやらせたら、どの程度うまくいくのか」を地道に検証していかないといけないですね。
松井:米国を見ていると、医療は民営化に向いていないですね。
小飼:生産的でない部分を民営化していいのか? というと、そうでないケースが多いですよね。もちろん、同じ医療でも美容整形や若返りといったものは、生産的な部門になるので、民間が競争してやればいいのですが、虫垂炎で入院して2万ドルかかったという話を聞くと、「なにそれ!?」って思いますよね。
松井:以前日本から米国に出張で来た人が病気になって手術したんです。そして病院に「旅行保険があるのでこれでお願いします」と言ったら、「こんな保険、ウチでは受け付けていません!」と一蹴されたそうです。
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