小飼:米国って、全有権者の2%が刑務所暮らしで、もうすぐ300万人に届きそうです。
松井:それがすごく予算を食っているんです。民営化すると、刑務所にいっぱい人がいたほうがもうかるじゃないですか。
「おらが町に刑務所を誘致しよう」という動きがあります。民営化すると、どうにかして犯罪者を解放しないようにしたり、ささいな罪で捕まえたりするようなシステムになる。そのほうがもうかるということになると、そうなるようにロビー活動を始めるわけです。
米国ではささいな罪が多いのですが、刑務所に1回行くと就職することが難しく、しばらくして再犯するケースが目立っているんですよ。
松井:米国は壮大な“実験国家”ですよね。あれもこれも民営化してみようって……頭おかしくって素敵です(苦笑)。
小飼:逆に非民営化するときも、かなり激しくやる。例えば、予防接種は民間がやっていたのですが、日本が国でやっているのを見て、“これがいい”ということになって非民営化に。そのように考えると、やはり小さくて強い政府がほしいんですよね。でかくて弱いのは最悪です。
かつて「これは国の仕事だ」と思われていた中で、民間がうまくやったのは交通の世界です。政府がやると赤字に陥いるケースが多かったのですが、フェデックスもクロネコヤマトなどはうまくやっている。その一方、電力は民営化にしましたが、「なんでカリフォルニアで停電になるんだ」ということになっている。
松井:次から次へと民営化していく米国は、参考になりますよね。国に属しているべき仕事かどうかを洗い出してくれるので。
小飼:たくさんの分野で民営化に踏み切っていますが、米国の歴史を振り返ると、連邦政府の権限が増している。
松井:確かに。
小飼:あと国の役割で重要なのは、再配分の配給人でしょうね。なのでマルサ(税務監査)も必要になる。
松井:結局、国家の役割は分配しかないんでしょうか。
小飼:その観点から言っても、国家が地方自治体化しているんです。
松井:結局はどの企業の声が大きくなるかで、戦争が起きたり起きなかったりしているのではないでしょうか。米国の大統領は選挙で選ばれていますが、意味あるのかなあと。
小飼:ものすごくゆっくりですが、あるべき方向に進んでいると思いますがね。
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