壮大な“実験国家”米国から何を学べばいいのか小飼弾×松井博、どこへ行く? 帝国化していく企業(5)(4/4 ページ)

» 2013年07月01日 00時00分 公開
[野本響子,Business Media 誠]
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米国は“実験国家”のままで

松井:国家がやるべきことはきちんとしたデザインでつくって、そうじゃないものは民営化する。米国のおかげで刑務所は国のほうがいいかなと分かってきました。

小飼:医療保険も政府のほうがいいのかなと。

松井:米国にはこのまま“実験国家”でいてもらおうかなと(笑)。それを参考にあるべき姿を導きだす。

小飼:実験をやってくれているので、エラいですよ。なんで米国にリーダーシップがあるのかというと、最初にこけてくれるから(笑)。

松井:なぜアップルのような会社が米国で生まれて、日本では生まれないのか。このような質問があったら、「環境の差」と答えます。米国ではチャレンジするだけでほめられる。チャレンジして失敗すると、“不浄なモノ”のようになってしまう国ではなかなか難しい。

小飼:その代わりに、うまくいって当たり前という価値観もあるわけです。例えば、電車の定時運行の正確さとか。

松井:日本のなにがいいかというと、正確さですよね。米国では不測の事態を想定しないといけない。日本にいると寛容さが失われて、5分遅れただけで腹が立つことも(苦笑)。

小飼:あるある。最近は、そこを携帯電話が少し和らげていますけどね。

つづく

プロフィール:

小飼弾(こがい・だん)

東京都出身。1991年12月米カリフォルニア州立大学バークレー校中退。その後帰国し、ネットワーク技術者として活躍。1996年ディーエイエヌを設立し、代表取締役に就任(現任)。1999年オン・ザ・エッヂ(現ライブドア)の取締役に就任するも、2001年に同社取締役退任。著書に『小飼弾の「仕組み」進化論』(日本実業出版社)、『空気を読むな、本を読め。小飼弾の頭が強くなる読書法』(イースト・プレス)ほか。Twitterアカウントは「@dankogai」。

松井博(まつい・ひろし)

神奈川県出身。沖電気工業株式会社、アップルジャパン株式会社を経て、2002年に米国アップル本社の開発本部に移籍。iPodやマッキントッシュなどのハードウエア製品の品質保証部のシニアマネージャーとして勤務。2009年に同社退職。ブログ『まつひろのガレージライフ』が好評を博し、著書『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」する』(アスキー新書)を出版。Twitterアカウントは「@Matsuhiro


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