NISAのメリットを最大限に活用する方法(2/2 ページ)

» 2013年07月22日 07時00分 公開
[高橋政実,マネーの達人]
マネーの達人
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NISAに向いている銘柄、向いていない銘柄

 では、どのような投資先でNISAを利用するのがよいのでしょうか。特定口座などの課税口座と比較した場合、最終的な損益が確定するまで結果は出ません。とはいえ、投資にリスクはつきものなので、NISAに限らず投資する時点で想定できるベターな選択を行う必要はあります。

 株式では、株価が下落後に値動きが小さくなり上昇するには時間がかかりそうだが将来性が見込める銘柄、あるいは株価が割安に放置されていて配当利回りが高い銘柄などがNISAに向いています。

 反対に、旬のテーマに乗って売買が活発な銘柄や、注目されて値動きが激しくなっているような銘柄は、NISAに向いていません。

 なぜなら、短期間で大きく値上がりすればいったん売却して利益を確定し、次に備えることで投資効率が上がるのですが、この場合はNISAの枠に余力がない限り次の利用ができなく、逆に値下がりしてしばらく回復の見込みがないと判断するなら一度損切りしてリセットするのがベターなのですが、この場合は損益通算ができないからです。

 さらに、NISAのメリット・デメリットを意識するあまり、せっかくの売却の好機を逃しては本末転倒です。その意味でも中長期を視野に落ち着いて投資できる銘柄を選びたいところです。

NISA向きの投資信託

 投資信託では、5年間非課税で受け取れる分配金の多寡(たか)が1つの基準にはなります。ただし、投資信託の分配金は株式の配当金に対する税制と異なり、分配金支払後の基準価額が個別元本を下回る部分は、分配金そのものが元本払戻金(特別分配金)として非課税になるため、NISAのメリットが失われてしまいます。

 例えば、1万円で購入した投資信託で500円の分配金が支払われた直後の基準価額が9500円だった場合、特定口座などの課税口座であっても500円は元本払戻金(特別分配金)として課税されません。

 また、分配型の投資信託は長期で保有しても分配金が支払われた分だけ元本が目減りするので、むしろ分配金が支払われないタイプで、ファンドの運用先が幅広く安定感のあるものにじっくりと投資するほうがNISAには向いています。NISAの枠を一部積立型投資信託で利用してゆっくり資産形成する方法も効果があります。

 このようにNISAを最大限に活用するには、損益通算ができないこと、途中売却した場合に売却部分の枠での再利用ができないこと、株式の配当金と投資信託の分配金との税制の違いなどを念頭に置き、5年間という非課税期間を十分に活かせる投資先を選ぶことが大切です。(高橋政実)

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