政府も、リバースモーゲージの普及に力を入れ始めています。その背景には、言うまでもなく高齢化社会の進展があります。2020年には65歳以上の世帯が30%を超える見通しです。
まず、リバースモーゲージで老後の生活不安の解消につなげるのが狙いです。また、自宅が現金化されることで、消費を促す効果やローン終了後の不動産流通市場の活性化も期待されています。でも、実際のところリバースモーゲージは制度上、まだまだ課題が多くあります。
リバースモーゲージのリスクは、大きく4つあります。
リバースモーゲージは、最終的に自宅を売却してそれまでに行った融資の利息と元金と手数料を回収する仕組みですから、現実的にはある程度地価の高い地域に限られてしまいます。
また金利変動や地価下落などのリスクを考えた場合、皮肉なことにリバースモーゲージに頼って生活しようとするような人には向きません。「ある程度財産に余裕がある人でないとダメ」という金融機関もあります。リバースモーゲージを扱っている金融機関は、まだまだ少ないのが現状です。
日本でのリバースモーゲージのさきがけと言えるのが、1981年から自治体として取り組んできた東京都武蔵野市ですが、その武蔵野市が今、その存続を見直しているそうです。
東京・武蔵野市、リバースモーゲージ見直し 貸付金回収できず
武蔵野市では81年から現在までに119件、17億円の利用があった。13年3月末時点での利用は18件で約3億円。しかし、地価下落や長寿命化などで、10年度には担保を処分しても貸付金を回収できない例が発生した。これまでに2件、約2500万円が回収不足となっている。
(2013年8月20日付 日本経済新聞)
回収不足が発生するのはある程度仕方がありませんが、約30年の間でたったの119件しか利用されていないというのは驚きです。やはり制度上、使いにくさがあるのだと思います。
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