本連載は、三井智映子著、書籍『最強アナリスト軍団に学ぶ ゼロからはじめる株式投資入門』( 講談社)から一部抜粋、編集しています。
「株価ってどうやって決まるの?」「株式相場の決まりごとって?」「何を買うべきか、どうやって狙うべきか」株の上がり下がりの基礎の基礎から微妙な判断のテクニックまでを網羅。
“美貌の気鋭アナリスト”による初心者向けの「株式投資のイロハ」から、著者と学ぶ銘柄選びのポイントやタイミング、そして応用編のテクニカル分析まで、この1冊で初心者から機関投資家、金融機関の資金調達担当者までが学べる株の実用書決定版!
さて、買いたい銘柄、狙いどころの業種を絞り込んできたところで、少し立ち止まって大切なお話を。
株式投資にはリターンもあればリスクもあります。投資におけるリスクというのは、簡単にいうと投資した資金が減ってしまうことです。要はもうかるときもあれば、損をするときもあるということです。では、どんな場合に損をしてしまうのでしょうか?
まずは株価の変動によるものです。株価は常に変動しています。安く買って高く売り、キャピタルゲインを得られればもちろん万々歳なのですが、その逆に、株価が上がると思って買ったら下がってしまった、ということもあり得るわけです。
株価が大きく変動している銘柄を買うのは大きな収益を挙げるチャンスでもありますが、同時に大きな損失を負う危険性もある、まさにハイリスク・ハイリターンということを肝に銘じていかなければいけません。相場の流れと自分の相場観が逆だったとき、「いまは下がっていてもまた上がるに違いない」と株式を買い足すことをナンピン(難平、何品とも)買いといいます。ナンピン買いをすると1株あたりの取得価格は相対的に低下します。株価が反発すれば利益は増えますが、そのまま株価が下がり続けると傷口が広がる可能性もあります。
また、投資した企業の倒産というリスクもあります。株価が安くなるということは株券を売りたい株主が増えているということです。その大きな理由は企業の経営状態の悪化だと思われます。悪化が進むと倒産という危険性もでてきます。会社が倒産してしまったら株式の価値はなくなり、ただの紙切れになってしまいますので、そうなる前に決断が必要になりますね。
これは信用リスクと呼ばれ、債券や株式の発行体である企業や政府・自治体などが破綻するときに生じるリスクです。信用供与先、つまり借り手の財務状況の悪化などにより、資産の価値が減少、または消失して債権の回収ができない状態に陥り、損失を受けることです。クレジットリスクやデフォルトリスク(債務不履行リスク)とも呼ばれています。
続いては、売買不成立です。その株券の取引量が少ないことで、売りたいのに売れなかったり買いたいのに買えないという事態に陥ってしまう流動性のリスクがあります。買いたい人がいても、売る人がいなければ買えません。需給のバランスが悪いと取引が成立せず、せっかく業績好調な企業でも株価が上がらないこともあるのです。
そしてインフレリスクです。これは株価が上がるリスクで金融市場全体にとってのリスク要因になります。物価が上がることをインフレといいます。インフレになると貨幣価値が下がります。例えば100円で買えたジュースが、10年後に120円になるのがインフレです。その場合、100万円のタンス貯金をしていても10年後にはジュース1万本の価値はなくなって、8333本しか買えなくなるわけです。こうした資産の目減りを防ぐために、株や不動産などの現金ではない資産を持つことでリスクを回避できるのです。
インフレが起きている経済状況下では景気がよい場合が多いので、貨幣の価値は下がっても、株価や不動産の価格は上がるのです。モノの値段の上昇に資産価値の上昇がついていくということです。預貯金も含めた現金の資産をもっている方はインフレには要注意ですよ。
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