新ポスティング制度を座礁させた“選手会ネクタイ組”の存在臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(3/3 ページ)

» 2013年11月27日 00時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]
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「第二選手会」が発足? 選手会が内部分裂し始めている

 断っておくが、この言葉は一選手の単なるボヤキではない。今回浮き彫りになった選手会の戦術ミスによって、各球団の選手たちからは最大の被害者である田中への同情論だけでなく今後への不安が次々に飛び出している。

 そして「暴走ばかり繰り返す選手会に大事な交渉を任せるわけにはいかない」との強硬な意見から、中には物騒にも「近々に『第二選手会』を立ち上げるべきだ」と新たな組織結成を訴える選手まで複数いるという。たまりにたまった不満が爆発し、あろうことか内部分裂を引き起こしてしまっているのだ。

 「そうなってしまうのも致し方ありません。なぜなら今の選手会は立場を勘違いしてしまっているのです。『自分たちには権力がある』『世論が必ず味方してくれる』などと思うようになったのが、そもそもの間違いの始まりですよ。

 2004年にプロ野球の再編騒動がぼっ発した際、当時の巨人オーナー・渡邉恒雄氏らが1リーグ構想を画策したことに反発。ファンの後押しを受けながらストライキを行うなどして経営者側に事実上の『参った』を言わせ、2リーグ制を維持させたことは確かに世間から賞賛されました。ただこれ以降、選手会の発言が急速に強まり、徐々にNPBも歯止めが利かない集団に様変わりしてしまっていったのです」(セ・リーグの在京球団関係者)

 2年前の東日本大震災の影響で自粛ムードが漂う中、プロ野球の開幕日を延期にするように経営者側へ進言し、これを認めさせるなど選手会の功績は評価されるべきところもいくつかある。しかし、今回の新ポスティング制度合意への横ヤリによって、選手会が一枚岩でないことが浮き彫りになってしまったのも事実。

 所属選手一人ひとりがキチンと主張できて個々の権利を守れるようにするためにも、選手会のネクタイ組は一刻も早く健全な運営体制を整えて常に事前の情報開示を行うようにすべきである。

 ビジネスパーソンの世界にも労働組合に所属している人は数多いだろう。それだけに今回の日本プロ野球選手会の問題は決して他人事ではないはずだ。

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