日本におけるiPhoneは完全なポジティブスパイラルに入っており、この好調は当面は続く。多くの一般ユーザーにとってスマートフォンの買い換えサイクルが2年であることを鑑みれば、日本市場では少なくとも今後3〜4年は、iPhoneが市場シェアの5割以上を占めることになるだろう。
他方で、Android市場の競争環境は、他国に比べてかなり厳しくなっていく。日本では、サムスン電子のGalaxy Sシリーズの失敗から分かるとおり(参照記事)、ブランドイメージのよさと品質の高さ、オリジナリティが高く評価される。そのためiPhoneに対抗して生き残りを図るには、ブランド戦略での成功が欠かせない。現時点でここで成功しているのはSONYのXperiaシリーズのみであり、このままいくと日本のスマホ市場は、iPhoneとXperiaが大半のシェアを取る"寡占化"が起きるだろう。一方で、残りのメーカーはさらなる再編を余儀なくされ、日本市場から撤退するということも十分に考えられる。
→「Xperiaの半分しか売れなかったGALAXY――ツートップの差はなぜ開いたのか?」
このように日本のスマホ市場は当面は「iPhoneが中心」になる。これはApple以外のメーカーにとっては頭の痛い話だが、アプリやコンテンツサービス、周辺機器など、スマートフォン向けのビジネスにとっては、むしろ「プラス」に働く可能性がある。なぜなら、iPhoneでは、Androidのようにメーカーごと・機種ごとの違いや、OSバージョンが不揃いといった"プラットフォームの分断"が起こらないからだ。
スマートフォン関連ビジネスの軸足は今後、「メーカー間競争」から、スマートフォン向けアプリやコンテンツ、各種サービス分野に"上位シフト"していく。こうした流れの中で、日本市場のiPhone偏重は、スマートフォン関連ビジネスに関わる企業や開発者にとってむしろチャンスになるかもしれない。
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