娘と父のマジトーク(その6)「自分の国の言葉が下手なのに、外国語が上手くなるって、ありえなくない?」父と娘の週末トーク(1/3 ページ)

» 2013年12月13日 17時00分 公開
[シックス・アパート 中山順司,Business Media 誠]

 13歳の娘がクラスメイトから告白されたのをキッカケに、娘と父が割と本気で話し合うこの企画、第6回のテーマは「英語と留学」です。

 中学1年生の娘が学校の授業で1番好きな科目が「英語」です。なぜ英語が好きなのか、英語が上手になってどうしたいのか、これまで話したことはありませんでした。留学経験のある父の背中を見て英語好きになったのだろうと期待をしながら理由を聞いてみたところ、期待に反して私は影響してなかったことが分かり、ほんの少しへこみました。

 今回は、娘のリクエストで朝マックを食べながら話し合いました。

担任の先生が、外国人と英語で話しているサマがカッコイイ

父: 中学校の科目で、1番得意なのは英語だよね?

娘: うん。1番好きだし、得意な科目だよ。

父: 英語が好きになったのは、中学に入ってから? 小学生のころから?

娘: 小学校のときから好きだった。3年生のときベネッセの英会話やってたの覚えてる? そのときの先生に、いつも褒められたんだ。

父: そういえばやってたね。あれがきっかけ?

娘: うん。何を褒められたのかは覚えてないけど、褒められてうれしかったことは覚えている。自習をがんばった分だけご褒美がもらえる、といっても消しゴムやシールだけど、ってゲーム感覚で勉強できたから、夢中で集めてたね。それと、公文でも英語を4年生から始めて今も続いているんだけど、それも楽しい。

父: 楽しいんだ。授業とは何か違うの?

娘: 学校の授業は文法とか、文字を書くのがメインなの。でも公文はリスニングの活動がたくさんあって面白い。

父: いろんなことが実践できるのが、面白いというわけか。

娘: あとね、中学の担任の先生(英語担任)が外国人の先生と会話しているのを見て、「かっこいいなー、あんなふうになりたいな」って思ったのもある。

父: 塾とか英会話スクールでの経験がキッカケなのね。それ以外にはない?(お父さんの影響で……とか言ってほしいと願いつつ)

娘: ないよ(キッパリ)。

父: あ、そう……。

外国語が上手になりたいのなら、母国語をおろそかにしちゃダメ

父: 英語を上達させて、どれくらいのレベルになりたい?

娘: んー、海外旅行できるとかくらいじゃなくて、ペラペラがいいな。

父: 映画を字幕なしで理解できたり、難しい議論をアメリカ人とできるとか?

娘: そうそう、かっこいいね。

父: 今のレベルはどんなもん?

娘: 英検4級(中学校2年生レベル)を持ってる。来年1月に3級を受けるよ。3級は中学3年生卒業レベルだってさ。

父: 2学年も上か。難易度、高くない?

娘: 先生が「やってみな」って薦めてくれたから、やってみようかなって。何回受けたって構わないみたいだしね。そういえば、お父さんは1級を持ってるよね。

父: うん、(アメリカの)大学卒業して、帰国した夏に受けた。自信はあったけど、実は2回落ちたんだ。

娘: え! ペラペラなのに落ちたの?

父: 英検1級は、レベルがハンパなく高いんだよ。絶対使わないだろうっていう文語調の単語や表現とか、やたら細かい文法問題が出題されるんだ。変な話、アメリカ人の高校生ですら落ちるレベルって言われてたから。

娘: 勉強はどうやったの?

父: 専用の参考書を買って、1級用の対策をしたよ。アメリカの大学を卒業したくせに、英検1級を持っていない自分が許せなかったから、もう意地だったね(笑)。

娘: で、3度目で合格したんだ。

父: そう、丸1年かかった。ペーパーテスト以外にスピーキングもあって、当時(1995年ころ)は10人くらいの受験者と1人の外国人面接官が円を描くように座って、1人づつ指名されたら立ち上がって3分間くらい、与えられたテーマについてしゃべるんだ。

娘: 3分も? 長いね。テーマはそのとき与えられるの?

父: そう。だから事前準備はできないよ。言いたいことを瞬時に考えて、順序立てて構成してしゃべらないと、時間が余ったり、逆に足りなかったりする。

娘: 30秒とかで終わっちゃったら、不合格だろうね。

父: だね。英語能力だけじゃなくて、文章構成能力も求められるね。そういう意味では、日本語、つまり国語能力も備わっている必要があるわけだ。

娘: なるほど……! 英語が上手になるには、国語もできなくちゃいけないんだ。

父: 自分の国の言葉が下手なのに、外国語が上手くなるって、ありえなくない? 外国語ができるようになりたいなら、母国語をおろそかにしちゃダメってことだね。

娘: あー、何か分かる……塾に国語のM先生って人がいるんだけど、オーストラリアに住んだことがあって、英語がすぐできるようになったって聞いたことがある。

父: 日本語能力が普通の人より高かったから、英語の上達も速かったのかもね。

娘: 国語も頑張らなくっちゃ……。

父: そうだぞ。お父さん、この連載で始めていいこと言ったな(笑)。

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