誰に相談しているか(しようと思うか)聞いたところ、最多が「誰に相談したら良いか分からない」が約半数、次いで「血縁者」、「弁護士」となりました。相談したくても誰にしたら良いか分からず、その結果何もしていないという構図が見て取れます。
このアンケート結果をまとめると、一般の人の相続に対する意識は以下のようになります。
この意識の低さはとても心配になる結果です。そもそも、相続はいつ発生するか分かりません。不意に発生するのが相続です。亡くなるまでに財産を使い切りたいと思っていても、必ずある程度の現金や自宅などの資産は残るのです。
まったく準備をしないまま、いくらか財産を残した状態で相続が発生する。これが相続トラブルのはじまりです。裁判にまでもつれ込む相続トラブルは年々増加していますが、司法統計年報によると、遺産分割事件の71%は5000万円以下の遺産額を巡って争われています。相続税の有無や、資産の多いか少ないに関係なくトラブルは起きるのです。
2015年1月の相続税の改正を迎えるにあたり、相続に対する関心が高まっています。相続をテーマに、テレビや雑誌などでもトラブルの事例を頻繁に取り上げています。
近年、
「自分の場合は大丈夫だろうか?」
「相続税はいくらになるのだろう?」
「自宅などの不動産は誰にどのように相続したらいいのだろう?」
という不安を持っている人は確実に増えています。
しかし、相続について不安はあるものの、する側も受ける側もほとんど何のアクションも起こしておらず、誰に相談してどう準備すればいいのかすら分からないのです。
日本の資産の多くは、60歳以上の高齢者世帯に偏在しています。その莫大な資産がこれから数十年をかけて高齢者世帯から次の世代に移転していきます。その相続の際に、資産をどう評価するか、誰に引き継がせるのか、納税資金は確保できているのか――。こういうことを当事者たちは知らずに相続を迎えることになります。相続がこれから本格化する中、トラブルは大きな社会問題になるかもしれません。
トラブルを防ぐためには「ウチに限ってもめごとなんて起こらない」と高をくくるのではなく、事前に当事者間でよく話し合っておくことが大事です。今後、社会的には気軽に相談できる場所を整備することが求められていくでしょう。(川瀬太志)
※この記事は、誠ブログの『相続対策は何もしていない 81.0%! それで本当に大丈夫?』〜社会問題化も予測される相続市場に必要なものとはなにか?〜より転載、編集しています。
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