道路老朽化への対策、今後のカギは「住民ボランティア」と「ICT」INSIGHT NOW!(3/3 ページ)

» 2014年04月10日 08時00分 公開
[日沖博道,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!
前のページへ 1|2|3       

会社の垣根を超え、総合的なソリューションを模索する必要性

 最近では、保守車両だけでなく一般車両のGPSデータと関連させた走行データ(プローブ・データ)を大量に集め、そのビッグデータを解析することで、特定地点の路面に問題があることを推測する実証実験も日本などで行われています。また、もっと簡易的にスマホを持つ市民の協力を得て、効果を上げた実験も世界にはあります。自動車メーカーやICTベンダーによる、こうした技術開発との組み合わせも期待できます。

 問題のある地点がある程度絞り込まれるだけでも、そのあたりを精密な機器で念入りに診断すれば、効率は各段に上がります。先に挙げた診断機器を、購入せずにレンタルするのも選択肢に入るでしょう。

 しかし、こうした民間各社が独自に開発している測定・診断技術やシステムは、単独では費用対効果が分かりにくく、個別の導入では、インフラ維持管理業務の効率向上への貢献度が不透明であるところが課題です。各社の技術やシステムをうまく組み合わせ、それらを連携的に運用する仕組みが望まれます。できれば、さまざまな市町村および都道府県がまたがって使えるような共通基盤ならば、コストも低くなりそうです。

 そのためには、どんな技術をどう連携させると効果的なのか、ベンダーが集まり検討することが求められます。自主的に集まりにくいなら、役所や中立的な機関がベンダー各社に声をかけ、全国で条件の異なる地域を選んで集中的に実証実験することが必要です。その際には、住民ボランティアの参加も計画に織り込んでほしいところです。

 道路インフラの維持管理分野で有効な方法を開発できれば、国内のインフラ維持コストの抑制になるだけではなく、先進国および一部新興国へのインフラ輸出につながる可能性も十分あります。日本を元気にする、重要な処方箋の1つだと私は考えています。(日沖博道)

 →日沖博道氏のバックナンバー

前のページへ 1|2|3       

Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.