失敗は最高の財産だが、本気の失敗でなきゃ意味がない――ロコンドの復活戦略これからの働き方、新時代のリーダー(3/3 ページ)

» 2014年05月13日 07時30分 公開
[岡田大助,Business Media 誠]
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目線は常に高く、正しいこと、意味があることをやろう

田中裕輔 田中裕輔/一橋大学経済学部卒。マッキンゼーに入社し、26歳でマネージャーに就任。2009年、カリフォルニア大学バークレー校でMBAを取得。2011年、ロコンドを立ち上げる。

岡田: 改めて、この3年間を振り返ってみて、どう思いますか?

田中: この3年間、お客さまに聞いて、聞いて、聞きまくりました。初年度の大失敗という経験を経て、商売の基本に立ち戻ったのだと思います。

 私の席も、当初は「役員室」のようなところにありましたが、今ではあえてコンシェルジュ席の中にしました。そこなら、お客さんとの会話が聞こえますから、気になったものがあれば「今の、どんな内容だったの?」と確認できます。毎日、お客さんの声のシャワーを浴びているような感じですね。

 2020年には売り上げ1000億円という目標を掲げていますが、それを達成したからといって「社長室で葉巻を吹かせばいい」とはなりません。お客さんとの距離感が近いことがロコンドのビジネスの根幹ですから。現場感を忘れてはいけません。スタッフにしてみたら嫌かもしれませんけど(笑)。

岡田: さすがに、コンシェルジュ業務はしませんよね?

田中: たまに外国人から電話がかかってきたら借り出されます。3カ月前にも電話注文を承りました。そのとき、英語が話せるスタッフがいなくて、「お前、英語うまいな」って誉められましたよ(笑)。

岡田: このインタビューシリーズ、必ずお聞きしていることが2つあります。まず、アクションリーダーとして常に心がけていることは何でしょうか?

田中: 3つあります。1つは、「正しいことをやる」こと。あいまいな表現になりますが、事業をやっていると法令順守を求められます。でも、やることなすこと法令順守をしていればいいのかというと、必ずしもそうではない。何が倫理的に正しいのかを考えて、自分が正しいと思ったことはやるし、正しくないと思ったことはやりません。

 2つ目は、「意味があることをやる」こと。既存の慣習がどうだとか、他社がどうだとかは、基本的に聞き入れない人間です。こうするからお客さんが喜ぶ、売り上げが上がる、利益が出るということを自分で考えて、あるべき姿をどんどん追求していくべきです。

 3つ目は、「常に高い目線を維持する」こと。事業を経営していると、いろいろ問題は起きますし、足元の売り上げや利益といった数字は気になります。一方でわれわれがやろうとしていること、ニコタマ構想の先には新しいファッションEC市場を作っていこうという当初からの野望があります。だからこそ、高い目線が必要です。人間は安易な方向を選びがちですが、「自分たちは日本一の会社になるんだ」と目線は下げないようにしています。

岡田: では、最後に読者へのメッセージをお願いします。

田中: 失敗は最高の財産ですが、単なるミスでは意味がありません。本気の失敗こそ財産です。そこからしか学べないものが多い。われわれは初年度に大失敗をしましたが、それがあったからこそ学び、今の立ち位置までたどり着いたわけです。失敗したって何とかなるものです。若いうちは、本気の失敗をどんどんしたほうがいいですよ。

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