このような分離販売をユーザー視点から見ると、いわゆる“縛り”から解放される代わりに、端末代金の割引がなくなるのが大きな変化だ。「iPhone 5s」を例に取ると、SIMロックフリー版と同等の価格(例えば16Gバイトモデルの場合、税別で6万7800円)を支払った上で別途、通信キャリアと回線契約を行い、通信料を支払うことになる。
各携帯キャリアが、キャッシュバック原資や端末代を上乗せしない、純粋に通信料だけの安価な料金プランを用意してくれればよいが、下手をすれば、通信料に端末の分割払い代金が上乗せされ、支払い額が今までより増えてしまう。
今回は、端末と通信回線が別々に販売される未来をシミュレートしてみたが、MVNO(他社の通信回線を借りてサービスを提供する事業者)のSIM販売、そして、各プロバイダやケーブルテレビといった固定回線の契約などにもクーリングオフ制度が導入されるわけで、クーリングオフが通信ビジネスに与える影響は計り知れない。
研究会の提言が、このシミュレートのような結論に至るかは、総務省の「ICTサービス安心・安全研究会 消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG」がまとめる報告書を待つしかないが、通信サービスのクーリングオフが、消費者問題にとどまらず、通信業界のビジネス構造とユーザーの利用・契約方法を大きく変える可能性は高いのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング