2015年、「クーリングオフ」の制定でケータイビジネスが一変するかもしれないキャッシュバックも月々割も消える?(5/5 ページ)

» 2014年05月27日 08時00分 公開
[山崎潤一郎,Business Media 誠]
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ユーザーは“縛り”から解放される、だが……

 このような分離販売をユーザー視点から見ると、いわゆる“縛り”から解放される代わりに、端末代金の割引がなくなるのが大きな変化だ。「iPhone 5s」を例に取ると、SIMロックフリー版と同等の価格(例えば16Gバイトモデルの場合、税別で6万7800円)を支払った上で別途、通信キャリアと回線契約を行い、通信料を支払うことになる。

 各携帯キャリアが、キャッシュバック原資や端末代を上乗せしない、純粋に通信料だけの安価な料金プランを用意してくれればよいが、下手をすれば、通信料に端末の分割払い代金が上乗せされ、支払い額が今までより増えてしまう。

 今回は、端末と通信回線が別々に販売される未来をシミュレートしてみたが、MVNO(他社の通信回線を借りてサービスを提供する事業者)のSIM販売、そして、各プロバイダやケーブルテレビといった固定回線の契約などにもクーリングオフ制度が導入されるわけで、クーリングオフが通信ビジネスに与える影響は計り知れない。

 研究会の提言が、このシミュレートのような結論に至るかは、総務省の「ICTサービス安心・安全研究会 消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG」がまとめる報告書を待つしかないが、通信サービスのクーリングオフが、消費者問題にとどまらず、通信業界のビジネス構造とユーザーの利用・契約方法を大きく変える可能性は高いのだ。

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