土肥: なるほど。「人間は同じモノばかり飲んでいると、必ず飽きる」という話をされましたが、ということは、いま街中で飲めるコーヒーを飲んでいる人も、やがてその味に飽きる可能性が高い。
前回ご紹介した「コーヒー味マップ」をご覧いただけますか。マップには6種類のコーヒーの味を取り上げていますが、酸味が強くてコクのあるゾーンが“空白”になっていますよね(赤い丸)。ということは、このゾーンにあてはまる味のコーヒーをつくると、ひょっとしたら人気が出るかもしれませんね。
鈴木: その発想はおもしろいですね。酸味が強くてコクのあるコーヒーはウケるかもしれない。空白のゾーンは消費者にとっては新鮮な味なので、出してみると売れるかもしれませんね。
土肥: もう少し、人間と飽きの関係について、話を聞かせてください。同じモノを飲み続けると、「必ず飽きる」ということですが、飽きにくい味ってあるのでしょうか?
鈴木: ありますね。味が口の中で複雑に変化するモノは好き……つまり、飽きにくいですね。
土肥: どういうことでしょうか?
鈴木: 例えば、コーヒーを口に含んだとき、高級品のコーヒーとインスタントコーヒーの味の変化が違うんですよ。高級コーヒーを飲むと、酸味と苦味のバランスがとれていて、その後は苦味が強く残り、酸味が消えていく。一方のインスタントは苦味を強く感じ、その後は全体的に味が消えていく。
高級コーヒーは先味と後味が別モノなので、人はそこに変化を感じることができるんですよ。コーヒーという慣れている飲み物の中に味が変化するという新鮮さが加わるので、高級コーヒーはよりおいしく感じて、結果的に飽きにくいんですよね。一方のインスタントは、単純に苦味の強さの変化しかない。なので、飽きやすい。
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