コーヒーは1日に3〜4杯、いや多い日には5〜6杯飲むという人もいるだろうが、そのコーヒーがどんな“味”をしているのかご存じだろうか。ん? どういうこと? と思われるかもしれないが、どんな食べ物・飲み物でも5つの基本味(甘味・塩味・酸味・苦味・旨味)として数値化できる機械があるのだ。
味の見える化に成功したのは「味覚センサー」。慶應義塾大学とAISSY株式会社が共同開発したセンサーで、私たちの舌に代わって、さまざまな味を分析することができるのだ。
今回の取材では、スターバックス(種類:ケニア)、ドトール、セブン-イレブン、ローソン、マクドナルド、ミスタードーナツ――この6つのコーヒーを分析してもらった。いずれも手軽に飲むことができるコーヒーだが、味にどのような違いがあるのだろうか。AISSYの鈴木隆一社長に話をうかがった。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。
→コンビニコーヒーの味に違いはあるの? 科学的に分析した (前編)
→本記事、後編
AISSY株式会社代表取締役社長、慶應義塾大学共同研究員(兼務)。慶應義塾大学理工学部卒業、同大大学院理工学研究科修士課程修了。大学在学中よりシステム開発の受託などを行いながらSFC研究所研究員も兼務。大学院修了後、慶応義塾大学から出資を得てAISSY株式会社を設立。味覚や食べ合わせの研究を行い、メディアにも多数出演。通称「味博士」。
最新著書として、『日本人の味覚は世界一』(廣済堂新書)、他にも『味博士のぜったい太らない食べ方』(日本文芸社)『「味覚力」を鍛えれば病気にならない』(講談社)がある。
土肥: 前回は味覚センサーを使って、コーヒーチェーン、コンビニ、ファストフードで飲めるコーヒーの味を分析してもらいました。コーヒーの味は「コクがあるのか、あっさりしているのか」「苦味が強いのか、酸味が強いのか」という軸で分析できますが、その結果、それぞれのコーヒーに違いがあることが分かりました。
今回はちょっと切り口を変えて、話を聞かせてください。人は初めてコーヒーを飲んだとき「苦い」と感じるのに、いつのまにか飲めるようになっていますよね。最初のころは砂糖やミルクを入れて、苦味を緩和させて飲む。しかし、その量は少しずつ減っていき、最終的にブラックで飲む。そんな人が多いと思うのですが、なぜこうした“流れ”になるのでしょうか。
鈴木: その説明をするのに、少し歴史を振り返らせてください。コーヒーは最初、イスラム圏で眠気覚ましとして飲まれていましたが、17世紀に欧州で広まりました。なぜなら欧州は肉食文化なので、旨味の強い肉と苦味の強いコーヒーはうまくマッチしたんですよね。しかし、日本は自然の素材を味わう食文化だったので、コーヒーがなかなか普及しませんでした。
江戸時代、コーヒーを初めて飲んだ役人は何て言ったと思いますか?
土肥: ニ・ガ・イ。
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