インタビュー
» 2014年06月16日 08時00分 公開

“何となく”客、振り向いて──クルマ販売にビッグデータ、何が変わるのか店舗×ビッグデータ(4/5 ページ)

[岩城俊介,Business Media 誠]

商談開始まで1時間、「再来店」を見込んだ店づくりとした理由

 ここではじめて商談に入る。

 営業スタッフは、先ほど行った行動履歴のログや来店時にとったアンケート結果との違い(クルマ購入における理想と現実の差)に加え、家族構成や季節、曜日、時間帯、気象条件、過去の履歴や傾向、現時点の人気/売れ筋車種の傾向のデータも判断材料に加え、顧客の深層を探る。この顧客へ本当に勧めるべきクルマは何か、この「予測」にビッグデータを活用する。

photo iPad miniでチェックしたクルマを商談スペースで振り返り、適正するクルマを絞り込んでいく。この行動記録とともに、客が本当に望んでいる──もしかして客さえも認識していなかったニーズでさえ営業スタッフは把握できる。ビッグデータはそんな「予測」に活躍する。ここはこれまで、営業スタッフが個人の経験や勘で提案していたところだ

 「お客様の何となく……を、具体的なニーズとして浮かび上がらせるためにビッグデータを使用します。ある車種をどれだけ深く、どのようなタイミングで何回チェックしたかといったログデータと、これまで蓄積した傾向のデータ、そして、それ以外の大きな要因を組み合わせて解析します」(菰方氏)

 店舗の雰囲気作りや設備、クルマ探しをテーマパークのようにゲーム化(ゲーミフィケーション)した。この店舗の狙いは「再来店率を高める」である。菰方氏によると、一般的に来場者の約2割は「単に見に来た」、約3割が「決めに来た/アフターメンテナンスに来た」、そして約5割が「検討初期段階」という。つまり、前者の2割と後者の約5割が見込み顧客と位置付けられる。この層を再び来店させれば成約率は高められるという考えだ。

 入店から商談開始まで約1時間、商談をし始めると約3時間が平均的というので、顧客の滞在時間はおそらく中古車販売店としてかなりの長さかもしれない。土日休日の混雑日は全50組もの接客をこなす営業スタッフも確保する。

 約1時間の“事前チェック”を家族みんなで回るのもいいが、小さい子どもがいればそうもいかない。待ち時間を飽きさせないカフェスペースを中心とする店内の空間作りや、託児スペースの完備もこれにつながる取り組みである。貸し出したiPadには、託児スペースの様子を動画でチェックできる機能も備えた。

 また、広いカフェスペースを生かし、「ママ友の集い、ちょっとした講習会」などの用途に場所を使ってもらうのも許容する。直接クルマの営業にはつながらないかもしれないが、「こんな場所があったのか、それならばと、週末に再度ご来店いただける機会が増えています」(菰方氏)という。

photo カフェスペースは「ママ友の集い」などにも使われるそうだ
photo スタッフ付きの託児スペースも完備。手渡すiPad miniに様子をチェックできる機能も設けた

 子どもの送り迎え用にという希望であっても、幼稚園児一人なのか、ベビーカーも必要なのかによって適する車種は違うかもしれない。このベビーカーが実際に入れやすいか──など、カタログやWebサイトの情報だけでは、クルマに詳しい人であっても分かりにくい。ここに実店舗の意義、そして来店を促すためのひと工夫も設けた。

 「これを知っていただく手段の一環として、“車種別フルフラットシートがどう倒れるか”の実演ショーなどを定期的に行っています。テーマパーク的に述べると、ふと開催されるナントカパレードのようなイメージ、あるいはテレビ通販の実演販売のようなもので、実際に見ていただくとこういう部分がチェックポイントになるのね、と理解していただけます。こういう積み重ねで、少しずつクルマに興味を持ってもらえれば、そして来店を促せればと考えています」(菰方氏)

photo フルフラットシートがどう倒れるかなど、来店者の多い休日には実演ショーもひんぱんに行う。テーマパークに例えると、さしずめ“レアイベント”的な扱いだ

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