企業のWebサイトを見てみると、プレスリリースのほかにも、決算情報や月ごとの業績資料など、参考になる情報がたくさん眠っています。主にマスコミや専門家向けに公開されているものですが、実はビジネスパーソンにとってもためになる資料なのです。「企業→マスコミ→自分」という情報の流れのほかに、「企業→自分」という情報の流れを持つことは、スピード感が求められる今のビジネス社会では、大きな“武器”になるでしょう。
この連載では、企業が発表するプレスリリースや決算短信などを題材に「なぜこのような発表が行われるのか?」「この発表の舞台裏では何が起こっているのか?」「今後、この企業はどうなるのか?」という疑問に対して、著者がときに答え、ときに推測します。
公認会計士。大手監査法人にて、監査業務のほか、管理会計の導入から経営ビジョンの策定にいたるまで、さまざまな種類のコンサルティング業務に従事。また、大学や大学院でのインターンシップ研修の運営や各種企業研修での講師も担当。
難しい会計やビジネスの世界を分かりやすくひも解き、「中学生でも分かるように」説明することを信条としており、書籍や雑誌でも物語や漫画などの形式で会計の仕組みを解説している。座右の銘は「できるときに、できることを、できるだけ」。誠ブログ「公認会計士まーやんの『ロジカるつぼ』」を連載中。
早いもので、2014年も3分の2が終わろうとしています。まだ今年を振り返るのには早い時期ですが、2014年は冬季オリンピック、消費増税、ワールドカップ、台風による被害など、すでに激動の感があります。
「振り返る」といえば、皆さんは過去のニュースを振り返って見たことはありますか? 日々の新聞やWebニュースを追いかけるのはもちろん大事ですが、ちょっと前の記事を読み返してみると、見えてくるものが結構多いものです。また、ニュースにはたいてい社説や専門家の見解などの「オピニオン」もくっついています。中にはニュースに対するコメントをSNSで残している読者の方もいらっしゃることでしょう。これもオピニオンの一種ととらえることができます。
ニュースをただ読むのではなく、自分なりのオピニオンを持ったり、他のオピニオンと照らし合わせてみること。さらに、そのオピニオンを検証するクセをつけておくことで、ニュースを見る「チカラ」を向上させることができ、いろいろなオピニオンに振り回されることがなくなってきます。
例えば、2014年4月、増税のタイミングに併せて、私はこんな記事を書きました。「増税後の牛丼バトル――値上げ、値下げ、どちらが支持される? (関連記事)」
増税に併せて、牛丼チェーン店3社はそれぞれ異なる価格変更を行いました。吉野家は20円、松屋は10円の値上げを決断しましたが、すき家は10円値下げしました。値下げ効果もあって、すき家の客足は一時的にぐんと伸びていきました。そんなすき家の価格戦略が吉と出るか否か……という点で、私はこんなことを書いています。
今回、280円で横並びだった価格に差をつけた「すき家」。増税という環境下での値下げは本来利益に大きな負のインパクトを与える判断なのですが、だからこそ、懐に優しい価格設定が大ウケして来客数の増加につながることは、十分想像できるところです。
よい機会なので、このコメントが「正解」だったのかどうか……一緒に振り返りをしてみましょう。
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