第4回 「iBeacon」と「NFC」のちょっとした誤解をひもとくビジネスパーソンが理解しておくべき、新時代のキーワード(1/3 ページ)

» 2014年09月26日 08時00分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),Business Media 誠]

 以前、「iBeaconは、NFCに取って替わる技術」と紹介されていたのを見たことがある。

 確かに、iBeaconもNFCも(規格は違えど)近距離無線通信の技術を用いたスマホ向けのサービス・機能だ。さらに、どちらも似た場所で、似たスタイルで使うので、混同してしまうかもしれない。今回は、この部分をじっくり整理しよう。


Beaconサービスは、今のところiOSデバイス向けのサービス Android対応は今後じわじわ

 2014年現在、さまざまなiBeacon連動サービスが登場している。その多くは「iPhoneユーザー」がターゲットだ(2014年9月時点)。理由としては、iPhoneならば「iPhone 4S以降のハードウェアで、iOS 7以上のOSを導入したデバイス」がすべて対象となり、現時点ではほぼすべての利用者を対象にできるからだ。iPhone所有率が高い日本では特にそうと言える。

 iBeaconは、(iOS 7以降を搭載した)iPhone 4以降で使える。アップルによれば、2014年7月27日時点のデータで、iOSデバイスにおいては、iOS 7の利用者が90%超(関連リンク参照)と報告している。少なく見積もっても現iPhoneユーザーの8割はiBeacon機能をすでに利用できると考えてよい。当然、iOS 7より新しいiOS 8で動作する新しいiPhone 6/6 Plusも、iOS 8にアップデートしたiPhone 5sも利用できる。

photo 2014年7月27日時点のiOSのバージョン別シェア(出典:Apple)

 一方、Androidはどうか。こちらは少し事情が違う。Beaconシステムは、近距離無線通信規格Bluetoothの省電力版「Bluetooth Low Energy(BLE)」を用いて信号をやりとりするものだ。Android OSは、「Android 4.3(Jelly Bean)」以降のバージョンでこのBLEに正式に対応した。

 ただ、例えばNTTドコモの「2013年冬〜2014年春モデルスマートフォン」だと、Android 4.2までがラインアップの中心。Android 4.3は「2014年夏モデル」でようやく多く登場したのが(例外はあるが)国内における機器ベースでの大まかな状況だ。もちろん一部のモデルにはOSのバージョンアップが提供されることもある。ただ、OSのバージョンこそ要件を満たすとしても、ハードウェアがBLEをサポートしていないかもしれない。そのあやふやさが難しい部分だ。Androidデバイスは機種のラインアップが多く、開発・仕様の自由度もiOSデバイスより高いだけに、“では、どれが確実に対応しているか”が分かりにくい。つまり、Beaconサービスが使える“可能性”は、今のところiOSデバイスのほうが高いということになる。

 GoogleによるAndroid OSのバージョン別シェア(2014年7月7日時点)によると、Android 4.3以上に該当する(開発コード名:Jelly Beanの一部、ならびに開発コード名:KitKat)バージョンのシェアは26.9%で、Androidデバイス全体の3割程度しかない。4.3以降のOSバージョンのシェアが70%を超えるには、おそらく今後1年近い期間が必要と思われ、ハードウェア仕様としての対応も含めてiOSデバイスに近い約8割の水準に達するには、あと1年半〜2年ほどは必要と想定されている。

photo Android OSのバージョン別シェア 2014年7月7日時点(出典:Google)
Android OSのバージョン 開発コード名 シェア
2.2 Froyo 0.7%
2.3.3〜2.3.7 Gingerbread 13.5%
4.0.3〜4.0.4 Ice Cream Sandwich 11.4%
4.1.x Jelly Bean 27.8%
4.2.x Jelly Bean 19.7%
4.3 Jelly Bean 9.0%
4.4 KitKat 17.9%
2014年7月7日時点のAndroidのバージョン別シェア(出典:Google)

 とはいえ、Androidデバイス利用者も相応に多いのはご存じの通り。当然、デバイスとOS側の対応が進むにつれ、Android対応のBeaconサービスもグッと増えるはずだ。実際、ACCESSのBeaconシステムによる位置連動型コンテンツ配信ソリューション「ACCESS Beacon Framework」など、Android OSも対応済みとするソリューションはすでに存在する。

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