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» 2014年12月05日 10時00分 公開

CASIO発! 日本で買えない、世界のヒット商品(後編):カシオの「イスラム教徒向け腕時計」、ヒットの背景に意外な事情 (2/4)

[吉岡綾乃,Business Media 誠]

信心深い&海外を旅するムスリムの必需品

イスラム圏では街のあちこちにモスクがあり、アザーンが流れてくると近くのモスクに行って、中や外で礼拝を行うムスリムが多い(写真はドバイのモスク)

 アラブ、トルコといったムスリムの多い国へ行ったことがある人は、街の中で不思議な歌のようなものが流れてくるのを聞いたことがあるだろう。朝、昼、夜と数時間おきに流れるのだが、かなりの大音量なので外にいても屋内にいてもよく聞こえる。あれは「アザーン」といって、お祈りの時間になったことを教えてくれるもの。敬虔(けいけん)なムスリムはアザーンが聞こえてきたら、モスクに行ったり、家や職場など手近なところで一日5回の礼拝を行う。礼拝はメッカにあるカーバ神殿の方角に向かって行うが、モスクにはカーバ神殿の方向が描いてあるし、家や職場で礼拝するときも大体の方角は分かっているので特に困ることはない。

 問題は、海外、特にイスラム圏以外の国に行った場合だ。アザーンが流れていないから礼拝の時間が分からないし、お祈りをすべき方向も分からない。信仰厚いムスリムにとっては大変な事態である。そんな状況でも、PRAYERS COMPASSがあれば、いつ、どの方向に向かってお祈りをすればいいかすぐ分かる……というわけだ。

 ムスリム人口は増え続けており、現在世界で16億人以上。2030年には世界の4人に1人がムスリムになると言われている。仕事のために世界中を飛び回るムスリムも多い。お祈りの時間と方角を教えてくれるPRAYER COMPASSは、そんな信心深いムスリムにとって、非常に役に立つ腕時計なのである。

 また、イスラム暦(ヒジュラ暦)についても説明が必要だろう。イスラム暦は太陰暦で、我々が普段使っている西洋の暦(太陽暦)とは異なる。イスラム暦では月齢に合わせて月を数えるため、1年は約354日。そのため太陽暦と毎年約11日ずつずれていくことになる。

 一年に一回、ラマダン(断食月)には日が上ってから暮れるまでムスリムは食べ物や飲み物を口にしてはいけない……というのをご存じの方も多いはず。上述のようにイスラム暦と太陽暦は毎年約11日ずつずれていくため、年によってはラマダンが真夏だったり真冬だったりすることになる。犠牲祭や砂糖祭といった祝祭もイスラム暦に沿って決まっているため、普段は西洋の暦で暮らしているムスリムも、イスラム暦を把握しておくことが必要になるのだ。簡単な操作でイスラム暦を調べることができるPRAYER COMPASSは、こういったニーズにも応える腕時計なのである。

お祈りの時刻は太陽の位置から算出する

 上述の通り、PRAYER COMPASSの一番重要な機能は、いつお祈りしたら良いかを知らせることにある。ムスリムは、1日5回、以下のタイミングで礼拝を行う。

  • FAJR(ファジル)……夜明け前の礼拝(夜が明ける前に行う)
  • ZUHR(ズフル)……昼の礼拝
  • ASR(アスル)……午後の礼拝
  • MAGHRIB(マグリブ)……日没の礼拝
  • ISHA(イシャ)……夜の礼拝

 ポイントは、これが時間ではなく、太陽の位置(角度)で決まるという点。夜明け前の礼拝は地平線より太陽が上にくる前に行わなくてはいけないし、日没の礼拝は地平線の下に太陽が沈んだタイミングで行う。つまり、自分がいる場所の緯度経度や、季節によってお祈りの時間は変わってくるのだ。

自分がいる場所にあわせて太陽の位置を計測し、礼拝のタイミングを算出できるのがPRAYER COMPASSの最大のポイント(出典:カシオ)

 PRAYER COMPASSには、太陽の位置からお祈りの時間を算出する機能が付いており、自分がいる都市を選んでおくと(プリセットできるのは31タイムゾーン70都市+任意の1都市、それ以外はマニュアルで入力可能)、何時何分に礼拝をしたらいいか教えてくれる。直近の礼拝時刻を表示するだけでなく、その時間にアラームをセットしておいたり、直近の礼拝時刻から何分経過したかを表示したり、先の日時を指定して礼拝時刻を計算したり……といった機能も備えている。

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