ちなみにこれは生活水準10年間の変化と、努力は報われると思うかどうかというデータをクロス集計したもの。生活水準が上がった人は、努力は報われると感じていて、逆に生活水準が悪くなった人は、努力は報われないと感じている人が多いという当たり前の結果が出ています。これを見ていると、「『努力しても報われない』と(勝手に)思って努力しなかったから、生活水準が下がったのではないか」と、うがった見方をする人も出てきそうですが、その因果は分かりません。
ただ、世代によって努力への報酬に対する期待の顕著な違いがあるというデータを見ていると、ここも職場内での衝突やズレの種になりそうです。やみくもに努力をしろ、頑張れと鼓舞しても仕方ない。努力したら報われるのだという事実を指し示さないと、若年層を努力させることは難しいと考える必要があるのかもしません。
最後にこのデータを。「お金があれば働かないか、お金があっても働くか」という分かりやすい質問です。余談ですが、私が以前、大学生向けのキャリアサービスをプロデュースしていたときに同様のアンケートを取ったことがあります。2006年くらいだったはずですが、ほとんどの人が「お金があっても働く。そうでないと人生はつまらない」と回答していました。
しかし、いまは「お金があれば、仕事はなくてもいい」という人が増加傾向です。特に若年層は顕著。仕事のやりがいや成長実感、社会的意義や、そもそも「働くことは生きること」的な発想は、希薄になってきたことを表しているのかもしれません。仕事に対するモチベーションの源泉は、多様化しているはずなのに、いや、多様化しているからこそ、分かりやすい結果が欲しいのかもしれません。
この調査には、ほかにも興味深いデータが満載なので、興味を持たれた方はぜひサイトに足を運んでみてください。さて、世代でひとくくりにして語るのはナンセンスなことは重々承知した上で、あえてここでは、世代で語ってみたいと思います。
今回参考にした調査の中には、「上司と仕事以外のつきあいがあったほうがいいか」という質問もありました。これに対し「あったほうがいいと答えた割合が、最も高かったのは20歳代、もっとも低かったのは40歳代でした。ここにも世代間でのズレが生じています。若手は、仕事に関しては、その意義をお金以外には見出せないでいる、けれども、職場での人間関係を重視し、家族的な意味合いを求める。上司世代は働くのは当然と、そこに人生の楽しみを見出し、結果云々よりもまず、努力を求める。
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