娘: 上の人に満足してもらえると、いろんなことをさせてもらえるようになるんだね。
父: しっかりとチラシ配りができれば、チラシデザインの意見をしても受け入れてもらえるだろうね。でも、単純作業さえ満足にできない人の声に上の人が耳を貸すわけがないと思わない?
娘: それはそうだ。子供でも分かる、アタリマエのことだね。
父: チラシ配りができれば、デザインを任せてもらえるかもしれない。それもできるようになったら、「インターネットとかSNSは得意? お店にできる人がいなくって困っているんだけど、うちの店のTwitter店長になってよ」ってお願いされるかもしれない。
娘: Twitter店長になりたいとは考えもしないけど、自分のアイデアを実現できるって意味では、チラシ配りよりもずっと面白そう。
父: だろ? そこでもいい仕事をすれば、信用が積み上っていくよね。さらには、「若い女性客を開拓したいんだけど、サオリちゃんの意見を聞かせてもらえる?」、「最近の女の子はこういう組み合わせのメニューに敏感ですよ。新しいメニューを提案してもいいですか?」って展開になるかもしれない。
娘: チラシ配りからかなり進展してきたね。
父: 俄然、仕事が面白くなってきていると思わない?
娘: 本当だ。同じラーメン屋でも、仕事内容もやりがいもぜんぜん違う。
父: いい仕事をすると、より素敵な仕事をさせてもらえるって例ね。
娘: 仕事の報酬は仕事ってことが分かった。最初から面白い仕事をさせてはもらえないんだね。
父: そりゃそうだよ、面白い仕事は他の誰かが努力の末に手に入れたわけで、新人に「はい、どうぞ」と渡してくれると思うのは考えが甘いわ。
娘: この仕事は面白くって、あの仕事はつまらないってカンタンに決めつけるような言い方は、しちゃダメだね。
父: つまり?
娘: この仕事は面白くなくて、あの仕事は面白いって、決めつけられるものじゃないでしょう。さっきのたとえのように、ラーメン屋のアルバイトだっていくらでも面白くできる。っていうか、どんな仕事だって、働く人の気持ちや心がけ次第で面白くも、つまらなくもなるって思うんだ。
父: うん、対象がなんであれ、面白い領域はあるんだ。そのことにサオリが気づいてくれただけで、お父さんはうれしいよ。
娘: じゃあさぁ、どういう人がそこに行けるんだろう? 学生のときにどんなことを努力すれば、大人になったときそういう人間に近づけるのかな?
父: それって、学生時代の過ごし方っていうこと?
娘: うん。あと、進学とか受験にどう取り組むかとか。
父: 学生の仕事は勉学だよね。
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