ランキング大好きな日本人が、金融商品を選ぶ決め手お金もセンス(2/4 ページ)

» 2015年02月12日 08時00分 公開
[森永賢治,Business Media 誠]

バスに乗り遅れるような恐怖心

 周囲の動向に高い関心を持っていた。その世代に向けて「同期のあいつも始めたらしい」とコピーを打ったわけだから、とても大きなインパクトを持ったのである。「自分も始めなければまずいかな」といった、一 種の“バスに乗り遅れるような恐怖心”をあおったわけである。

 最近でも、野村證券が、NISAの広告で「鈴木さん家も 、伊藤さん家も 、高橋さん家も 、中村さん家も 、渡辺さん家も、 田中さん家も 、佐藤さん家も、深堀さん家も、貯蓄から、非課税投資へ。 野村でNISA はじめたひとから非課税に!」というコピーを展開し成功している。これも「横並び意識」からくる“自分だけバスに乗り遅れたくない”という人々のインサイトをうまくついた秀逸のアプローチである。

 実は、特に金融の世界において、この「周りのみんながやっている」というアプローチは、よく効く「ツボ」なのだ。横並び意識は、言い変えると「平均好き」になる。

 時として「みんなの平均」が、重要な金融商品選択の判断基準になっていることも多い。例えば保険商品。実際、保険ショップなどで相談の際に、まず人々が口にするのは「自分と同じ年齢、家族構成だったら、みんな、月々、どれだけ払っているの?」というセリフだそうだ。

 ちなみに以前、とある金融機関のバナー広告で「日本のサラリーマンのお小遣い平均額は?」というコピーのみを示し、それをクリックすると、答えが示された定期預金のキャンペーンサイトに飛ぶ仕掛けを展開したところ、当時としてはかってないほどのクリック数を記録したことがある。いかに「平均」という言葉にみんなが弱いかが、伝わる話だ。

特に金融の世界では、消費者に“バスに乗り遅れるような恐怖心”を与えることで、商品がよく売れるとも言われている(写真はイメージです)

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