ランキング大好きな日本人が、金融商品を選ぶ決め手お金もセンス(3/4 ページ)

» 2015年02月12日 08時00分 公開
[森永賢治,Business Media 誠]

日本人は「平均」「ランキング」が大好き

 昔からよく言われることであるが、日本人は「平均」が大好きである。また、それと同じくらい「ランキング」も大好きである。総中流時代が長かったせいか、はたまたそもそもの国民性なのか、いわゆる“横並び意識”と“付和雷同型行動”が多い。自分の主張や美意識がないわけではないが、ことのほか「周りのみんな」を気にする。雑誌の特集でも、平均やランキングを前面に立てた号の売れ行きはそれ以外の号に比べ明らかに良いという。

 特に「お金」に関する判断や行動に関してはその傾向が顕著である。年収やお小遣いなど、自分は平均より上なのか下なのか、みんなに一番人気の金融商品は何なのか、みんなの平均やランキングが、ある意味で価値の尺度になり、商品の購入やサービス利用の判断材料になっている。その大きな理由の1つとして、日本人の「金融リテラシーのなさ」がある。自らの知識や感覚が当てにならないので、金融商品を選ぶ際にどうしても「周囲のみんなはどうなのか!?」が気になり、悲しいかなそれを手がかりにしてしまうのである。

 以前、我々のやった調査で、非常に興味深いものがある。投資運用商品に関する意識調査だが、「商品を選ぶ際に安心だと思うことは?」という問いに対し、「証券会社の勧め」や「専門家の勧め」(22.4%)に圧倒的な差をつけ、「投資家みんなに人気」が56.4%と1位となった。

 投資家とは言え普通の一般人である。確かに証券会社の勧めは「商品を売りつけられるのでは!?」という恐怖があるので消費者も警戒するのは分かる。しかし、第三者である専門家の意見より「みんなの支持」のほうが安心感をもたらすというのは実に驚きの結果である。

 実はこれは運用商品に限ったことではなく、保険商品でも全く同様の結果が出た。ここでも有識者の意見より、「一般のみんなの意見」のほうに「安心感」を感じている。当然ながら「一般のみんな」は、最も金融知識に乏しく、一番あてにならないはずだが、にもかかわらず安心や信頼を感じている。

 いかに日本人が大多数の意見を信じる傾向にあるか、大多数を形成したいのかということを表してると言える。

 もう1つ、この裏には、人々の「自分だけが損をしたくない」という意識が背景に強くある。「自分だけがバカを見るのがイヤ」というわけである。これは裏を返せば「損をしたとしても、みんなで損をするのなら仕方ない」ということで、極端に言うと、日本人はお金の損得という実際問題よりも、プライドの方を重く見ていると言える。

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