Apple、Google、Amazon、Hewlett-Packard(HP)――これらはすべて、ガレージから出発して大成功した企業だ。ITやコンピューターの世界では「ガレージから世界へ」という歴史を持つ企業は少なくない。しかし、ガレージではなくカフェからスタートして、世界的に大成功したコンピューター企業をご存じだろうか?
今やグローバルに展開する大企業に成長したのが、台湾のASUSTeK Computer(エイスース)だ。社員4人から始まった同社は、台湾で5000人、グローバルで1万2000人の従業員を抱える大企業に成長。今やコンシューマー市場では世界第2位のノートPC出荷台数を誇る。マザーボードの出荷数は世界1位、最近は「ZenFone」などのスマートフォンやタブレットも好調で、GoogleのAndroid端末「Nexus」シリーズの一部も、同社が開発・製造している。
2月13日、ASUSTeK Computerは2015年PC春モデルとして10シリーズを発表した。今回の目玉となった製品が薄型2in1ノートPC「ASUS TransBook Chi」(エイスース・トランスブック・チー)シリーズだ。
同社のTransBookは、ディスプレイ部分とキーボード部分を切り離して利用できるWindowsノートPC。Chiはその中でも特に薄く、軽いのが特徴となっている。
「Chi」(チー)とは中国語で「気」のこと。非常に高い山の上にあるもの、または目には見えないが人に力を与える原動力になるもの……というイメージだという。「“Air”(空気)より軽い“Chi”(気)」と紹介され、「MacBook Airよりも薄くて軽い、しかもパワフル」というポイントを強く訴求していた。
実際、12.5型ディスプレイ搭載のChiの最厚部は16.5ミリで、MacBook Airより0.5ミリ薄い。重さはわずか720グラム(キーボードユニットを外した場合)、CPUはパワフルなCore Mシリーズを搭載しており、バッテリー駆動時間は7.7時間と、バッテリーのみで長時間使用できる。
この注目のマシンを含めた春モデル発表会のために来日したASUSTeK Computer会長 ジョニー・シー氏にインタビューを行い、同社の成長の理由について聞いた。
まずは、ASUSTeK Computerのこれまでの歴史をざっとおさらいしておこう。同社は、マザーボード(PCの主要な電子回路基板)メーカーとして1989年に誕生。当初は各PCメーカーにマザーボードを供給するなどしていた。
日本にオフィスを設置したのは2002年。当時、PCを自作する人ならASUSTeK Computerのマザーボードを知らない人はいないはずだ。その後、5万円と低価格なサブノートPC「Eee PC」(イー・ピーシー、当時は「ネットブック」と呼ばれた)が爆発的にヒットし、2008年に日本法人を立ち上げた。
その後も、通常のノートPC、近年ではタブレットPC、Androidタブレット、スマートフォンなどの開発を精力的に行っている。モバイルPC「ASUS ZenBook」、Androidタブレット「Nexus 7」、スマートフォン「ZenFone 5」などはデザイン性も高く、人気のある機種になっている。
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