飛行機は本当に「安全」なの? 現役パイロットに聞いてきた仕事をしたら“安全”に飛べた(3/7 ページ)

» 2015年03月25日 07時49分 公開
[土肥義則Business Media 誠]

最悪の事態を想定

土肥: パイロットは1人でも操縦できるけれど、最悪のことを想定して2人体制というわけですね。ところで、急減圧ってどういったときに起きるのでしょうか?

船越: いろいろなケースが考えられるのですが、例えば、どこかの窓が壊れてしまった、どこかに穴が空いてしまった、といったときにそこから機内の空気が出てしまう。こうしたケースはほとんどありませんが、ほとんどないことであってもパイロットは常に最悪のことを想定して備えています。

土肥: 急減圧が起きれば、お客さんも意識を失う?

船越: はい。なので、お客さまにもマスクを着用していただきます。1万フィート(約3000メートル)以下になれば、正常に呼吸することができるので、パイロットはお客さまが意識を失わないように緊急降下をします。

土肥: 座席の上から落ちてくるマスクをお客さんは使うわけですよね。あれって、パイロットと同じモノなのですか?

船越: いえ、違います。パイロットはボトルに圧縮空気が入っているモノを吸うのですが、お客さまはオキシジェネレーターという化学薬品を使って、酸素を発生させているんですよね。

土肥: 食事面で気をつけていることってありますか?

船越: 2人のパイロットが同じモノを食べることはありません。例えば、1人がビーフだったら、もう1人はフィッシュといった感じ。飛行機はオートパイロット(自動操縦)で飛んでいるので、一緒に食べることができるのですが、絶対にそんなことはしません。違う時間に、ひとりずつ食べています。

土肥: 技術が進歩すれば“1人パイロット”の時代がやってくると思いますか?

船越: 遠い将来、そうした時代になるかもしれませんが、直近ではあり得ないでしょう。それはなぜか。たくさんの乗客を安全に乗せるために、いまのシステムではパイロットは2人必要だからです。

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