注目されているカープの中で、注目されていない監督に迫る赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2015年03月26日 08時00分 公開
[臼北信行Business Media 誠]

「いや、別に私の話題なんてそこまでは必要ないはずでしょう。チームの主役はあくまでも選手。あくまでも監督は脇役であり、裏方なんです。だから選手よりも私が目立ってしまうようではダメ。むしろ注目されなくてOKですよ。

 その代わり、どんどんウチの選手に脚光を浴びせてあげてほしい。こちらとしても日なたより日陰になっていたほうがノビノビとできるし、選手起用法や戦術、練習メニューもじっくりと考えられて余計な詮索をされず、おまけに情報漏れの心配もないですからね。そう考えれば、私がメディアから注目されないのはチームにとってプラス材料のことだらけでしょう」

 なるほど、確かにそうだ。緒方監督の説明は実に理路整然としていて分かりやすい。どうやら地味だから目立たないというわけでもなさそうで、あえて選手よりも自ら一歩引く姿勢を貫いているからこそ陰に隠れていたというのが真相のようだ。さらに指揮官は、こうも続けた。

「チームを会社に置き換えてみてもよく分かると思いませんか? 会長や社長が社員よりも出しゃばってしまっては、その会社は必然的に『ワンマン』というイメージが強くなる。その下で働く人たちはどうしても窮屈になりますよね。そうなると何事もうまく機能しにくくなると思うんです。少なくとも私はそういう環境をカープで作りたくはない。戦いやすいチームを作ることも私に課せられた使命だと思っています」

 なんとも素晴らしい“上司論”ではないか。一体、この緒方監督という人物はどのような経歴をたどってきたのだろうか。必然的にそう思わずにはいられなかった。果たして取材を進めてみると、その人物像は想像通りの謹厳実直な人であった。

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