インタビュー
» 2015年04月09日 08時25分 公開

アイドル市場の規模は863億円:参加アイドル300人以上! アイドルアプリ「CHEERZ」のビジネスモデルとは? (4/4)

[山崎潤一郎,ITmedia]
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1年間は収益は考えないで運営する

 アプリのダウンロード数やアクティブ率は「非公開」なので、現状、ポイントのアドオン課金からどれだけの収益を上げているのかを外部からうかがい知ることは難しい。ただ、グラビア写真集の制作、巨大ウインドウ看板への登場、海外フェス進出など、アプリ外での展開にかなりのお金を注ぎ込んでいることは想像にたやすい。「課金収益の2倍程度の費用をイベントに回しており現状は赤字」(関根CEO)だそうだ。

 ただ「調達した約5000万円と借り入れ(金額は非公開)で運用し、収益は考えない。アイドルプラットフォームとしてトップを目指す限りは、広告収入など中途半端な利益を追いかけていてはだめ、親会社もそれは理解している」(関根CEO)と言い切る。親会社は、東証マザーズ上場のユナイテッドだ。ユナイテッドは、スマホのホーム画面をデコレーションするコミュニティー「CocoPPa」が有名(参照リンク)。関根CEOは、プロデューサーとして「CocoPPa」の大ヒットを産み出した立役者だ。フォッグは、ユナイテッッドの社内スタートアップ支援制度を活用して創業した。

 「1年後の黒字化を目指しているが現状の数十倍の売上げが必要」(関根CEO)だというが、ポイント収益だけでそれは可能なのだろうか。そのためには、アイドル市場が今よりもさらに拡大するという前提で、登録アイドル数とアプリのユーザー数を飛躍的に伸ばすことが必要になる。

 また、アイドル市場がいくら成長しているとはいっても、海外にも目を向ける必要があるだろう。まるっきりドメスティックな状態ではパイが限られる。関根CEOは、そのあたりも視野に入れているようで、3月からアプリの海外展開(現時点で英語と中国語に対応)も開始する。海外フェス進出もその一環だ。

アイドルアプリの可能性

 その上で、アイドルプラットフォームとしてナンバーワンになれば、ポイント収益だけでなく、他のビジネス展開も可能になるだろう。そのあたりの詳細も聞いたのだが、残念ながら教えてはくれなかった。

 1つ心配なことがある。エンタメ系のビジネスというのは、労働集約(注:人間の労働力による業務の割合が大きい)的な側面が多分にある。アプリ以外にもビジネスを広げた場合に、労働集約型に終始していたのではプラットフォーマーとしてスケールアウトしない。CHEERZも今後、掛け算型のビジネスをどの程度生み出せるかが勝負となるであろう。

 また、アイドルのプラットフォーマーとしてアプリ外へ積極的に進出した場合、そこで展開するビジネスが、既存事業者(芸能事務所や音楽業界など)のビジネス領域を侵すようなことになれば、反発を招くことにもなる。そこに折り合いを付けながらIT事業者としてのフットワークの軽さを存分に発揮できるかどうかが鍵となる。

 最後に意地悪な質問をしてみた。30年以上も音楽業界の末席で仕事をしていると、「ランキングはお金で買える」という噂はちょくちょく耳にするのだが……? 関根CEOは「それを一度許すとプラットフォームとしての価値が地に落ちてしまう。絶対にやらない」と語気を強めた。

著者プロフィール:山崎潤一郎(やまさき・じゅんいちろう)

音楽制作業に従事しインディレーベルを主宰する傍ら、IT系のライターもこなす。街歩き用iPhoneアプリ「東京今昔散歩」「スカイツリー今昔散歩」のプロデューサー。また、ヴィンテージ鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」の開発者でもある。プロデュースした音楽アルバム「全6時間のノンストップ勉強・作業用BGM - 集中と全力の101曲」は、iTunes Storeのクラシックジャンルで6カ月以上ベスト5をキープ中。


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