2015年4月3日。函館駅15時56分発の特急「スーパー白鳥34号」の床下機器から火花と白煙が発生し、青函トンネル内で緊急停車した。停車地点はトンネル内の避難口「竜飛定点」より青森駅側で、乗客はいったんトンネル誘導路に入り、トンネルの奥へ向かう形で「竜飛定点」に移動。そこから地上へ脱出した。
JR北海道の資料によると、煙はトンネル本坑を青森側へ抜けており、乗客は新鮮な空気を受ける「向かい風状態」で避難している。青函トンネル内の火災事故は開業後初めてだと思うけれど、避難はマニュアル通り安全に行われた。
火花と白煙の発生場所は特定できた。しかし原因はまだ分かっていないようだ。JR北海道は電車のモーターに電流を送る電線に過電流が発生して被膜が焦げ、さらにモーター冷却装置の排気部も焦げたと説明している。しかしこれは過電流の結果であって、過電流が発生した原因は特定できていない。これもいずれ判明するだろうし、対策されると信じて、ここでは触れない。
問題はやはりホウレンソウである。北海道テレビ放送のニュース動画によると、運転席には該当機器の異常を知らせる警告表示器があり、列車がトンネルに入る30分前から3回も警告表示が出ていたという。運転士は当然、運輸指令に異常を報告したはずだ。電話インタビューに応えた匿名の運転士は「3回も続くとは珍しい」と語っていた。3回が珍しいというなら、1回や2回は珍しくなかったわけだ。警告表示について「いつものこと」と看過する状況になっていたとみられる。それが運転士の判断か、列車指令の判断かはともかくとして。
ニュースではさらに、JR北海道が「警告表示が出ても、その後消えた場合は報告すれば運行継続を認める」という処置をとっていたと報じている。「廃熱異常表示が出た」「消えた」「温度が下がったんだな、じゃあ大丈夫」。この流れは予断の極み。「消えなかったらどうする」「○秒間、消えなかったらダメ」という基準があったのか。いや、そもそも異常表示は「異常」である。一定時間の温度上昇が異常ではないという根拠があれば、表示させない仕組みにすべきだ。これでは異常表示のオオカミ少年状態である。
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