超一流ではなかった真中監督が、チームを再建させた方法赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2015年04月27日 12時26分 公開
[臼北信行ITmedia]

「自主性」という言葉を用いた意図

 実際に動いたのは、今季開幕前の春季キャンプイン前日に行われた全体ミーティング。ここで声を大にしたのが「自主性を持ってやってほしい」という言葉であった。確かに「自主性」と言えば聞こえはいいが、下手をすれば2年連続最下位でモチベーションを低下させつつあった選手たちを放任することになり、沈滞ムードにさらなる拍車をかけてしまうことにもつながりかねない。真中監督を直撃すると、あえて「自主性」という言葉を用いた意図についてこう打ち明けた。

 「ボクはコーチ時代から見ているんですけれど、ウチの選手は過保護なところがあったと思うんです。これまでもコーチが手取り足取り教えて、キャンプでも組まれた練習メニューをこなすだけというイメージがあった。1つの練習をするにして何のためにやっているのかということを理解しながら取り組んでほしいという思いですよね。

 公式戦が始まれば打球判断など、いろいろと自分で咄嗟(とっさ)に判断しなければいけないことが多く出てくる。そういうところをレールが引かれたままでやってしまうと、大事な時に迷ってしまう。私生活も含めて自分で管理をしながら、野球も考えてほしいということですね」

 世の監督の指導法は「教える」ということに重点を置きすぎるが余り、選手たちに半ば有無を言わさず強制的に練習メニューを押し付けてやらせる形が大半だ。ひと昔前であればこのやり方で良かったかもしれないが、良くも悪くもドラスティックな感覚を持ち合わせている現世代の選手たちにはなかなかフィットし辛い。

 指揮官が選手の面々に「自主性」を説いた狙いもそこにある。そういう意味でも現役引退後にいきなり一軍の指揮官ではなく、現世代の選手たちと二軍でスタッフとしてじっくりと触れ合う期間を持ってから満を持して昇格した真中監督の存在はヤクルトにとって貴重な存在と言えるだろう。

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