“幸せな最期”のために――三つ葉在宅クリニック院長 舩木良真さん(4/4 ページ)
長い待ち時間、傲慢な態度、不十分な説明……。誰しもが感じる医療に対する不満。27歳の若者が、そんな巨塔に風穴を開けようと、経営学を武器に立ち上がった。大切にしているのは、患者自身の想い。最高の在宅医療を提供したいと、駆け回る医師の姿は問いかける。「あなたは今の医療に満足していますか」
社会人大学院で学んだもの
誠編集部では本記事の再掲にあたって、舩木さんにいくつか質問をしてみた。
――社会人大学院に行ったのは何歳から何歳のときでしたか?
2003年1月にグロービス名古屋校が開設されたときからですので、25歳の時に単科で通いはじめ、今年(31歳)でGDBAを卒業の見込みです。
――どういう経緯、きっかけで社会人大学院へ行くことにしたのですか?
新しい事業を始めようと思ったとき、何も知らないことに気付き、まず人・組織論について勉強しようと思い、通い始めました。最初は単科でスタートし、組織論だけでなくほかのことも必要と考え、GDBAに進みました。
――何を学びたいと考えて社会人大学院を選びましたか?
ほかにもいくつかの社会人向けビジネスコースを受講した経験がありますが、ハーバードから導入されたケースメソッドが有効であると考えました。
――実際にどういうことを学びましたか? 学んだことは卒業後、現在の仕事にどのように結びつき、生きましたか?
学んだというより、ルールを知ったことが大きいと思います。ビジネスを将棋に例えれば、ルールを知らなくても勝てるかもしれないが、知っていれば枠組みが分かり、先を見通せるようになる。うまくいかないことがあっても、どんな現象が起こっているかを少し引いた眼で見られるようになりました。
いろいろな科目がありますが、特にベンチャー系のケースは面白いと思いました。ケースを使って学んでいると、起業段階、成長したらどんな問題が出てくるかなど、自分たちのビジネスにも重なる部分が出てきて、リアルに共感できる。ベンチャーのプロセスには定石があり、極めて論理的に説明できるということがわかりました。ベンチャーこそ、十分に準備すれば成功の確率は高くなるのではないか。すべてに勝たなくても、重要な戦いに勝てば、結果として勝てる可能性が高くなるということを学びました。
ひと物語
ひと物語はグロービス受講生や卒業生を取り囲む風景や現実を追い、ビジネススクールで培った知恵と羅針盤を手に、少しずつ歩みを重ねる姿をレポートする連載企画です。
※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2008年5月23日に掲載されたものです。ひと物語の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。
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