トルコ航空で“空のシルクロード”を行く:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(4/4 ページ)
今年はどこへ旅しようか? ゴールデンウィークや夏の休暇に向け、早くもあれこれプランを練っている人も多いだろう。世界は広い。どのエアラインでどこを目指すかで、旅のスタイルも経験できる内容も変わってくる。2011年にぜひ候補の1つに加えてほしいのが、“空のシルクロード”を行くトルコ航空での旅だ。
欧州各都市へのネットワークも充実
日本(成田・関西)からイスタンブールまでは、前述したように12時間におよぶロングフライトだ。そこから先の旅については、心の向くまま自由に計画してみてほしい。トルコは国土が日本の2倍あり、さまざまな観光地が点在している。トルコ国内を効率よく旅するには飛行機に頼らざるをえないが、トルコ航空はもともと国内線からスタートしているので国内線ネットワークも充実している。
「でもせっかく行くのなら、目的地は1カ所か2カ所に決めたほうがいいと思います」とアドバイスするのは、トルコ航空日本支社長のトゥーバ・トプタン・ヤブズさんだ。「国土がとにかく広いので、1回の旅行で全部を見て回るとなると、移動だけに多くの時間をとられてしまう。それではもったいないですよ。せっかく12時間もかけて行くなら、目的地を絞って、その街を100%満喫し切って帰ってきてほしい。ほかに興味のある街があれば、また次に行けばいいんですから」
同感だ。私の場合は、イスタンブール1都市だけを目的に旅に出ることが多い。ヨーロッパ側とアジア側に分かれ、“東西文化の交差点”として栄えてきたこの街は、隅々まで歩くのに何日もかかる。歴史ある世界遺産を訪ね、人恋しくなればメイン通りから一歩外れて路地裏へ。そこには居酒屋風のバーが軒を連ね、道路にまでテーブルを広げている。数え切れないほど店があるのに、週末などは空席を探すのにひと苦労だ。ようやく席にありつき、「ラク」とよばれるトルコの蒸留酒をなめながらトルコ料理をつついていると、あちこちから声がかかる。日本人ですよね? 東京から? イスタンブールは好きですか? 親日家として知られるトルコの人たちは、相手が日本人と見ると黙っていられない。
もちろん、ここからヨーロッパ方面へ足を伸ばすのもいいだろう。トルコ航空はイスタンブールを拠点に、欧州71都市を含む世界160以上の都市へ翼を広げている。2011年も新たに11の都市がネットワークに加わる予定だ。フランスのパリへ飛ぶ路線なども人気で、イスタンブールとパリという2つの歴史ある都市を一度に楽しんでしまう贅沢な旅も捨てがたい。繰り返すが、イスタンブールから先は自由に、思いのままに旅のプランを組んでみてほしい。日本を飛び立ち、プロのシェフによる本格的な料理でもてなされながら、ユーラシア大陸の上空をひたすら西へ西へ──私がトルコ航空の旅を勧める一番の理由は、この“空のシルクロード”を行くこと自体にあるのだから。
著者プロフィール:秋本俊二
作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。
著書に『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『新いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。
Blog『雲の上の書斎から』は多くの旅行ファン、航空ファンのほかエアライン関係者やマスコミ関係者にも支持を集めている。
関連記事
- 「トラベル」インデックス
- 「秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話」
- タイ国際航空で行く南ア・サファリの旅(前編)
動物たちに会いたい。檻の中で飼われているライオンやキリンやゾウではなく、広大なジャングルに棲息する野生の動物たちに──。アフリカに行こうと決めたのは、そんな思いを実現するためだった。利用したのはタイ国際航空のバンコク経由便だ。前・後編の2回に分けて報告する。 - タイ国際航空で行く南ア・サファリの旅(後編)
ヨハネスブルグを早朝に出発して、クルマで約6時間。クルーガー国立公園には午後2時前に到着した。ここからは五感を総動員しての、野生の声と匂いを感じとる旅が始まる。予約したホテルにチェックインして荷物を解くと、わたしはさっそく動物たちの楽園に足を踏み入れた。 - チャイナエアラインで行く! 羽田・台北、日帰りの旅
羽田から32年ぶりとなる国際定期便が再開した。これからは日帰りの海外旅行も可能になるという。就航初日のチャイナエアラインの早朝便で、実際に台北へ飛んだ。当日の最終便で帰国するまでの詳細を、時間軸を追ってレポートする。 - 羽田から世界へ、羽田国際化による新しい旅のカタチ
欧米やアジア、中東・アフリカ、オセアニアなど世界の空を旅しながら、作家/航空ジャーナリストの秋本俊二が“旅とエアライン”についてつづる新連載「“飛行機と空と旅”の話」。第1回のテーマは本格的な国際空港として生まれ変わる羽田空港。10月21日のオープンを前に、新しい国際線旅客ターミナルを歩いてみた。 - ケバブと中華、どちらに軍配? ドイツの軽食事情
ドイツでも若者や子ども連れの家族に人気があるファストフード。中でもトルコ料理の「ケバブ」や中華のお店が多い。今回の時事日想はドイツの軽食事情を紹介する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.