ネット選挙解禁、ネットユーザーの化学反応が気になる:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
最近の政治をふり返ると、政党のガバナンスが効いていない。それは権力基盤を党内ではなく、支持率に求めているからだ。ネット選挙が解禁されると、どんな化学反応が起きるのだろうか。
SNSを使った「落選活動」が活発化するかもしれない
例えば候補者のSNSなどが炎上し、その結果、日本ではあまり目立った動きにならなかった「落選運動」が激しくなるかもしれない。ネット選挙を早くから解禁していたお隣、韓国では政治家の採点や落選運動が盛んに行われた。米国のようにネットによってさらにボランティアが集まり、勝手連のような組織が生まれ、戸別訪問やら政治資金の集金をするようになるかもしれない。
投票率が低い若者のほうがネットに親しんでいるから、彼らがさまざまな政治的問題に対して意見を交換し、そこに政治家などが参加して選挙活動を展開することがあるかもしれない(これなどは、誰が仕掛けるかによって公職選挙法に触れる可能性もあるが、それは終わってから考えればいいだろう)。
それにしても日頃の政治活動でネットを活用している政治家は少なくないと思うが、問題意識や政策を発信できているのかどうかということになると、はなはだ疑問だ。単に「お知らせ」でしかないものや、感想を書きつづっただけのメールマガジンは少なくない。さらに言えば、自民党のTwitter公式アカウントでも、フォロワーの数は6万をちょっと超える程度だ。これを多いと判断するか、少ないと判断するかは分かれるかもしれないが、減ったとはいえ党員が80万人という大組織であることを考えれば、やはり少ないだろう。
それでもネットという媒体がこれまでの紙や映像というものとは違う力を獲得するのは明らかだと思う。それはネットを利用すれば、かなりの情報を元までたどることができるからだ。政治家が国民に語りかけることもできるし、国民が直接政治家にもの申すこともできる。
今は大した変化がなくても、将来的には民主主義の在り方を変えるかもしれない(バーチャル直接民主主義とか)。その「進化」が社会にいい結果をもたらすのか、それとも思わぬ副作用をもたらすのか、それは時間がたってみなければ分からない。とにかく第一歩を踏み出すことは決まったのである。
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