ウォール・ストリート・ジャーナルのススメ:ビジネス英語の歩き方(3/3 ページ)
ビジネス英語に強くなりたいならば、英語メディアに直接触れることが近道です。とはいえ、日本語訳がないとハードルが高いのも事実。そこでオススメなのが日本語サイトもあるWSJなのです。
「WSJで学ぶ経済英語」も役に立つ
WSJ日本版のいいところは他にもあります。例えば日本人ビジネスパーソンのために、カギになるビジネス英語の解説も載せています。最近のものではグローバル預託証券などという専門用語も取り上げています(参照リンク)。
この解説は通りいっぺんのものではなく、かなり詳しい用語解説が、すでに90回以上掲載されています。これを読んでいるだけで、最新のビジネス英語に相当詳しくなることができます。
ところで、ウォールストリートといえば、巨大な牛の置き物で有名です。置き物というよりは巨大な物体という感じですが、これはある種のおまじないです。何のおまじないかというと、株価が上がるようにというウォール街の願いが込められているのです。
名前もCharging Bull(チャージング・ブル)といい、いわば「攻める牡牛」「攻める猛牛」といったところです。その由来は、牛は戦うときにツノを激しく上に動かすところから来ています。下から上に、という猛牛の戦闘動作から、株価上昇のシンボルとなっているわけです。したがって、上昇基調の株式市場のことを、ブル・マーケットといいます。
これに対して下げ基調のときはベア・マーケット。ベアとはBear(熊)のこと。牛より熊のほうが強そうで相場上昇にふさわしい感じがしなくもないのですが、戦うときに上腕(前足?)を下げて敵に向かうことから、下げ相場のことをベア・マーケットというようになったわけです。
WSJを詳しく読み込むには、有料会員登録が必要ですが、とりあえずどんな感じかトライするには無料で読める部分だけでも十分です。ぜひお試しください。
著者プロフィール:河口鴻三(かわぐち・こうぞう)
1947年、山梨県生まれ。一橋大学社会学部卒業、スタンフォード大学コミュニケーション学部修士課程修了。日本と米国で、出版に従事。カリフォルニアとニューヨークに合計12年滞在。講談社アメリカ副社長として『Having Our Say』など240冊の英文書を刊行。2000年に帰国。現在は、外資系経営コンサルティング会社でマーケティング担当プリンシパル。異文化経営学会、日本エッセイストクラブ会員。
主な著書に『和製英語が役に立つ』(文春新書)、『外資で働くためのキャリアアップ英語術』(日本経済新聞社)がある。
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