孤独は、目標達成の最大の敵:絶対に達成する技術(2/2 ページ)
目標を達成しようとしている姿を公開すると、続けられるだけでなく、周りの人からの影響を受けることができます。1人だけで努力するよりも、ずっと大きな効果を得ることができるのです。
その行動、そっとやめたら誰かが気づいてくれますか?
目標達成する人は、PDCA(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Act:改善)のサイクルを回せる人です。ただ、回し続けるのはとても難しいことです。孤軍奮闘という言葉がありますが、目標達成という難事業を成し遂げようとしているのに、自分1人でがんばっていても、いつかへこたれてしまいます。目標達成において「孤独は最大の敵」なのです。1人だと続けることができない理由は2つあります。
- そっとやめても誰も気づかない
- 他の人からの影響力を活かせない
周りの誰もあなたの挑戦を知らないのであれば、途中であきらめたとしても知ることはありません。何も言われないので、いつでもそっとやめてしまうことができてしまいます。それでは続きません。
これは「みんなで一緒に、同じ目標を目指そう」ということではありません。あくまで、個人の目標です。しかし、その目標を達成しようとしている姿を、公開することの意義が大きいのです。「誰かが見ていてくれている」「ひとりじゃない」という安心感が得られ、勇気が湧いてくるのです。
また目標に向かっている姿を公開すれば、他の人から多くの影響を受けることができます。認知科学や言語学を研究している早稲田大学の原田康也教授は「授業中の最大の学習資源は、隣の受講生である」と言っています。人が学び成長するうえで、周囲の人を生かさない手はない、ということです。
目標達成においても同じです。孤独だと誰からの影響も受けず、自分の考えのみに閉じこもることになります。それでは新しいアイデアは思いつきません。人は多様な人との付き合いによって気付き、成長するものなのです。
研修の場は、最高の「他人の影響を受けることができる場」
私は、人材育成のためのプログラムを開発し研修講師も行っていますが、企業の「研修」という仕組みは、素晴らしいものだと感心します。なぜなら、いろいろな部署から多様な人が集まってきて、お互いに意見を出し合い自分を成長させようとしている場だからです。
近年、ダイバーシティー(多様性)が重要視されていますが、自動的にその状態ができているのが「研修」です。最近研修の手法として、ワークショップを取り入れることが多くあります。グループディスカッションをしながら、気付きを得ていく手法です。
お互いの背景を話して共感し合ったり、自分の仕事の問題を共有して解決策を話し合ったりしています。隣に座った人は、部門が違うのに真剣に耳を傾け、解決の糸口を探そうとします。なんとも素晴らしい学び合いの場です。
そして「研修」の最後に、学んだことを仕事に生かすためのアクションプラン(行動計画)を設定して、各自職場に戻っていきます。あとは仕事の中でどう生かしていくかということになります。
ただ残念なことに、学んだことを仕事に生かしきれているかというと、そうではないようです。基本的に、職場での人材育成は、上司やメンターという先輩による「OJT(On-the-Job Training)」に任せられるからです。
これでは「研修」と「職場」がブツ切りです。せっかく「研修」という場で、いろいろな意見から学びを得たのに、なぜそこで解散してしまうのだろうと、私はいつも「もったいないな」と思っています。「研修」でのグループをそのまま「チーム」と見立て、影響し合いながら行動実践を続ければいいのに、と感じます。
そこで私は「やりっぱなしの研修」を解決するためのITシステムの仕組みを考案し、日米で特許を取得することに成功しました。「Action T.C.」というサービス名で2006年から多くの企業で採用され、のべ1万人が目標達成のための行動を、習慣化することに利用しています。
ITシステムを使い、せっかくできた「研修」でのグループを、最大限に活かそうという試みなのです。インフォーマル(非公式)な場が少なくなってきた企業内においては、「学びの場」が足りないのです。今後は、アナログの研修の場とデジタルのITの場を融合して、「学び合い成長する場」として人材育成の仕組みをデザインする必要があるのです。
(次回は「チャック、開いてますよ」と言える人が成長する理由について)
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