インタビュー
厚労省はなぜ今、派遣法を改正しようとしているのか?:「3年ルール」撤廃へ(4/4 ページ)
派遣社員の働き方が変わる――労働者派遣法を改正する動きがあるのをご存じだろうか。なぜ派遣法を改正するのか、改正が行われるとどういった影響があるのか。エンジニア派遣大手であるVSNの川崎健一郎社長に、改正法案のポイントを解説してもらった。
派遣労働のあるべき姿に近づける改正案
――法改正によって大きな影響を受ける業界などはあるのでしょうか。
川崎: 変化を迫られるという点では、従来雇用期間の上限がなかった、専門的な28業務を扱う派遣事業者や雇用者(派遣先企業)ですね。派遣社員を正社員化するかどうか、大きな問題になるでしょう。ソフトウェア開発で派遣社員を使っているIT業界が打撃を受ける、といった声もありますが、実際に法が施行されてみないと分からない部分もあります。
――ちなみに、被雇用者にとってはメリットがあるのでしょうか。
川崎: 雇用者側の考え方にもよるのですが、正社員になるチャンスは増えると思います。先ほど言った理由で、派遣先企業でも派遣事業者でも、正社員を増やす方針に切り替える会社が増えるはずです。正社員として働くか、派遣社員として働くか。派遣社員の選択肢も広がる見通しです。
――今回の法改正は良いことだと言えるのでしょうか。
川崎: 派遣法はあくまで、“働き方”の実態に対応するために生まれる“調整”の法律です。施行されてみないと、どのように作用するか分からない部分はあります。
とはいえ、法の内容がシンプルになったことや、派遣先企業、労働者、派遣事業者それぞれのバランスを取ろうとしていることは評価できます。今後も、派遣労働のあるべき姿を目指して改正がされていくのではないでしょうか。
――ありがとうございました。
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