グローバルビジネスに「英語力」が必要なワケ:8言語マスター・新条正恵さんインタビュー(1)(2/2 ページ)
グローバルビジネスの世界で、日本人は「英語が苦手」なばかりに取り残されてしまっている――そう警鐘を鳴らすのは、外資系企業で長く働いてきた新条正恵さんだ。8カ国語をマスターした彼女に聞く、グローバルで通用する「生きた英語力」とは? 全3回。
外資系の金融企業の多くが、アジアの中で最も収益を得ている国は日本です。なのに、なぜ日本人は評価されないのでしょう。私には2つの理由が思い浮かびます。1つはアジアで出世するよりも日本にいたいという内向きなマインド。もう1つは、英語を使ったコミュニケーション力の低さです。
金融業界で働いているアジア人の多くは、幼少時より世界を視野に入れた教育を受けています。そのため、母国語だけでなく、英語や日本語、中国語など、3カ国語・4カ国語を話せる人もたくさんいます。どの都市のオフィスに行っても、誰とでも英語で会話をすることができるのです。英語で上手くコミュニケーションが取れない国があるとすれば、それは日本支社だけでしょう。
日本人の中には、例えばTOEICの点数が900点でも、英語でのコミュニケーションが苦手な人がたくさんいます。そういった人たちは会議の場でほとんど発言することもなく、本音を伝え合うコミュニケーションができないため、世界のビジネスパーソンはどこか日本人を信用することができません。グローバルビジネスの世界で、日本人は「英語が苦手」なために、取り残されてしまっているのです。
次世代の日本人は英語が話せる?
とはいえ、日本人もいつまでも現状を看過している訳ではありません。先日、上智大学でプロジェクト・マネジメントについて講義をする機会をいただいたのですが、その際に上智大学では今、授業の13%が英語で行われているという話を聞きました。英文学以外の学問の授業でも、日本人の先生が英語で授業を行っているというから非常に画期的です。
13%というのは、文部科学省が大学の国際競争力を高めるために重点的に財政支援する、「スーパーグローバル大学」の認定を受けるために必要な基準だということです。「スーパーグローバル大学」には上智大学を含む37校が指定されており、なかでもより基準が厳しい「トップ型」に選定された東京大学、京都大学、早稲田大学、慶應義塾大学など13校では、さらに先進的なグローバル教育が行われています。
大学も激しい競争の時代。すべての授業を英語で行うコースを設けたり、留学での単位互換を推進するなど、国際化を売りにしているところが増えています。
つまり日本においても、語学学習の環境が大きく変わってきているのです。とても素晴らしいことだと思います。最近、学生や若い社会人と会う機会が増えていますが、以前と比べて英語が上手な人がかなり増えてきていると感じています。
生き残りをかけて英語を学べ!
今後も日本では、仕事の国外への流出は進んでいきます。また一方で、国内は少子高齢化で労働人口がどんどん減少していますから、海外からの労働者の流入も進むでしょう。
日本がさらなる発展を遂げるうえで、企業の「グローバル化」は避けて通ることができません。さらに、これからは英語を話せる世代があなたの下にも続々と入ってくることになります。そうした状況のなかで、今まさに時代を担っている20代後半から30代、40代の人たちが、英語という当然のコミュニケーションツールを持っていないということが、どれだけマイナスになるかは明白です。
近い未来を見据えたとき、あなた自身が国際社会で必要な人材であり続けるためには、“高いグローバル能力”を身につけることが必須になってくるでしょう。英語は必要不可欠なコミュニケーションツール。持っておかねばならない必要最低限のスキルといえます。
今回のポイント
- アジアの金融・ITの中心が、「日本」から「海外」へと移動している現状を知る
- 「英語」はグローバル時代に必要不可欠なコミュニケーションツール
プロフィール
新条正恵
1978年生まれ。英国の高校、米国の大学に留学。外資系企業で12年間勤務し、外資系銀行でヴァイスプレジデントを務める。転職5回、海外勤務の経験もあり。
2014年に独立し、現職は約1カ月で受講者がバイリンガルになる短期集中型完全オーダーメイド・プライベートレッスン講師、企業向け語学研修コンサルタント。多言語サロン「マルチリンガル・クラブ」主催。約2時間で参加者の9割が英語を話すようになる外国語読書会「Multilingual Read for Action」開発者。
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